第44回 「晴れ男」ですか?
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第44回
「晴れ男」ですか?
「晴れ男ですか?」とカメラマンという仕事をしているとよく聞かれます。カメラマンに限らず撮影現場に関わる全ての人が、もし悪天候になったら…その心配から「晴れ男ですか?」「私は晴れ女です」というような話をします。「すみません。僕、雨男です」と自ら謝る人も珍しくありません。これまで撮影現場で一度も雨に降られたことのないベテラン編集者や、嵐だったけど撮影しているほんのわずかな時間だけ晴れ間から光が指したという同業者、あの人が現場に来ると雨が降ると陰で言われている有名デザイナーなど、事実、天気にまつわる逸話をもつ人が周りに沢山います。もちろん撮影にとって晴れだけがいいとは限らないのですが、そのほとんどは晴れを願って話すことのように思います。絶対晴れて欲しいけどこのまま晴れそうにない時の「晴れ男ですか?」なんかはもう責任の擦り付け合いみたいなところもあり、そんな時に「名前に“太陽”の“陽”とついているから僕は生まれもって晴れ男です」という決め台詞を発したところでそれはただの逆効果にしかなりません。島の写真を撮り続けている自分の撮影はいつも青い空や海が広がっていると思われているようで、やはり先日も「晴れ男ですか?」と聞かれました。
とある雑誌の撮影で先月、宮古島に行きました。
撮影は実質3日間でしたが、早朝から始まる撮影に備え前日入り(午前10時に宮古島に到着)する初日と悪天候だった時の為の予備日を合わせて4泊5日の旅でした。ここまで書けばおわかりかもしれませんが…今回、僕らの滞在に合わせたように台風4号(その名もグチョル)が宮古島に上陸したのです。
台風が発生した時点で悪天候とわかっていても関係者や取材対象者全員の日程調整が難しく、飛行機が欠航しない限り予定どおり宮古島へ! と編集部は判断しました。結果は前日入りしていた時間を活かし、到着したその日に広い空や青い海といった絶対撮影しなければならない宮古島らしい風景や観光名所などを撮り終え、翌日からは台風のさなかに室内で撮影や取材を行うというギリギリのスケジュールで乗り切ることができました。終盤は次に迫ってきていた台風5号の行方を心配していましたが、ここでも余裕を持ってスケジュールを組んでいたお陰で台風の合間をぬって東京に戻ることが出来ました。
悪天候の宮古島滞在中に何度となくなされた「晴れ男」「晴れ女」の話。いろんなエピソードが出ましたが今回関係者3人中、自己申告で晴れ男1、晴れ女1、雨男1でした。
4日滞在中、晴れたのはわずか一日でしたが撮影、取材共に事なきを得ました。この結果が天候よりも大事なことだと胸に刻みました。でもきっとこれからも続く「晴れ男」の話。作り話でもいいから現場が明るくなるような話を用意しておこう。
平成24年7月20日
マドロス陽一