nanuk & Premium 海のこと。
海はいいなぁ。打ち寄せる波の美しさもいいけど、夜、少し冷たくなった砂浜を裸足で歩く心地よさもいい。海をぼんやり眺めていると、水面が同じ高さでどこまでも続き、またどこかで、同じ高さで、誰かがこちらを見ているかもしれないなんて想像してしまう。だだっ広く何もない海を前に、想像力が掻きたてられる。何もないことは、本当に何もない訳ではなく、何かを始めるための舞台なのだと気付く。物が溢れるこの世界に一番足りていないのは、想像力なのかもしれない。
絵・文/水野 学
みずの・まなぶ/クリエイティブディレクター。〈good design company〉代表。慶應義塾大学特別招聘准教授。著書『センスは知識からはじまる』(朝日新聞出版)他。