nanuk & Premium 無のこと。
無はいいなぁ。何も無いという現象に「無」という名前を付けたのがいい。何も無いわけだから本当なら呼び名も無いはずのものに、あえて名前を付けたことで、「有」の裏側が創られた。裏の裏を考えていると、宇宙の果てのことが気になってくるから不思議。つまり無っていうのは、何も無いことじゃなく、そのものの周りにある全てを指しているのかと考えてみる。そうか。「心を無にする」とか「無の境地」ってのは自分を空っぽにして他を受け入れることなのかもしれない。
絵・文/水野 学
みずの・まなぶ/クリエイティブディレクター。〈good design company〉代表。クリエイティブコンサルタント。慶應義塾大学特別招聘准教授。著書『センスは知識からはじまる』(朝日新聞出版)。