懐かしいから新しい。 From Editors No. 1128 フロム エディターズ 担当編集より
担当編集より
懐かしいから新しい。
出会いは1本の映画監督からの電話から始まった。
浅草のパン屋さん<パンのペリカン>のドキュメンタリー映画を撮影しているので、話が聞けるライターさんを紹介してほしいという内容だった。電話の主、内田俊太郎さんは30歳。たった2種類のパンだけで、しかもレシピも変えずに作り続けているという姿勢に魅かれ」と映画を作り始めたそうだ。
浅草の<パンのペリカン>は創業74年、食パンとロールパンをメインに商いを続ける。監督のような若い世代はこういった昔ながらに敏感なのか、わざわざ遠方から来たのだろうというお客様は内田さん同様、若い世代が圧倒的に多い。
昔から使われているだろう木製のパンケースや年輪を感じさせる食パンの型、そして焼きあがったロールパンを冷ます風景。確かに店内は愛らしいもので溢れている。
日頃から新しい物、現象を追求していたけれど、昔からのモノの素晴らしさを忘れていたのかもしれない。クリームパン、コッペにシベリア、昔ながらのパンはそのシンプルな形や使い込まれた道具、お店そのものが魅力でいっぱいだった。
長く残って多くの人に愛された歴史あるパンに敬意を払い、内田さんは映画作ったが、我らは特集記事とともにシールも作ることに。
さて、出来栄えはいかに。
(担当編集・西村由美)