マガジンワールド

ガラス吹きも体験!
江戸風鈴を作ってみた。

〔Hanako/Study〕
江戸の風情を味わえるガラスの風鈴。伝統の技術を体験しに行ってきました!
江戸風鈴は大きさや形によって響く音が変わるから、世界にひとつの音色ができ上がる。
江戸風鈴は大きさや形によって響く音が変わるから、世界にひとつの音色ができ上がる。
 
[ 教えてくれた人 ]
篠原正義さん(写真右)
伝統を守り続けて30年以上。丁寧に分かりやすく教えてくれる。絵付けをレクチャーするのは、妻の延子さん。「上手にできるかな?」
 
[ 教わった人 ]
西村佳芳子さん/ライター(写真左)
繊細な手仕事には不安があるけれど、職人の世界に興味津々。この夏は風鈴の音を聞いて、のんびり夕涼みしたい!
 
image



今回挑戦する江戸風鈴は、江戸時代末期から人々に親しまれるようになったガラスの風鈴。こちらの工房の先代が、ひとつひとつ宙吹き(型を使用しない方法)で作られるものを「江戸風鈴」と名付けたんだそう。「共竿(ともざお)」という道具に、溶けたガラスを巻き取ってふくらませるのですが、これがなかなか難しい! 篠原さんのお手本は、簡単そうに見えるのに…。ガラス吹きには3つの段階がある。はじめに土台部分を小さめに作り、その上に風鈴部分をふくらませる。ひもを通す穴をあけたら、成形のために最後のひと吹き。それぞれの段階によって、吹き具合や竿のまわし加減に微妙な違いがある。自分ひとりで綺麗な形に仕上げるには10年もの修業が必要なんだとか。シンプルに見えて、奥深い世界にひたすら感心…! 篠原さんの力を借りて、ようやくガラス吹きは終了。次に竿とガラスを切り離し、口の部分を砥(と)石で整える。良い音を響かせるため、削りは粗めに。続いて絵付けの作業へ。風鈴でよく見る絵柄には、縁起をかついだものが多い。たとえば金魚なら“金運”アップで、トンボは前にしか進まず勝ち虫と呼ばれるから“勝運”アップなど、それぞれに意味が込められているのだ。金魚柄を選んだ西村さんは、ほかに海藻や水面の表現を考え、いざ本番。風鈴は内側に絵を描いていく。球体の中に筆を入れるのは意外に大変で、緊張しながら描いていきます。乾いたらひもを付けて完成! いよいよ夏も本番。家のどこに飾って涼音を楽しむか、想像をふくらませるのでした。



 

START

●STEP1 共竿にガラスを取る
右:焼き釜
1300℃以上に熱された窯の中には溶けたガラスが入っている。竿にガラスを巻き取るまでは、篠原さんが行ってくれる。お手本を見た後いよいよ作業開始。
写真右:焼き釜
 
●STEP2 ガラスを吹き成形する
image
1段階目は「そっと」、2段階目は「ささやくように」、最後は「思い切り!」と、吹き加減を教えてくれる。息に合わせて竿を回すのは初心者には至難の業…!「難しいけどおもしろい!」
共竿
▲共竿
 


●STEP3 竿と切り離して冷ます
image
共竿と風鈴を切り離し、砥石で鳴り口を整える。風鈴の形だけでなく、鳴り口の処理でも音の良しあしが決まるのです。この作業は篠原さんにおまかせ。
 
●STEP4 絵柄を決め下描きする
描き方、絵の具
image風鈴によく登場する絵柄は描き方が載ったシートが参考になる。水彩絵の具を使うのでやり直しはきくが、綺麗に仕上げるには一発で描くのがベター。
写真:描き方、絵の具
 


●STEP5 風鈴に絵を入れていく
image
image透明なため遠近感をつかみづらいので、手で風鈴を包むようにすると描きやすい。文字や直線を描きたいなら外側に描いた線をなぞれば成功率アップ。
 
●STEP6 ひもを付けて完成
image
絵の具が乾いたらひもを付けてもらう。風受けの紙や振り管がそろえば、オリジナルの風鈴が完成。ついつい夢中になってあっという間の体験でした。
 


FINISH

image
今年の夏は風鈴で涼しく
 
篠原まるよし風鈴
しのはらまるよしふうりん
☎03・3832・0227 | 御徒町
台東区台東4-25-10/営業日時は以下URLでチェック。www.sam.hi-ho.ne.jp/maruyosi
[ 体験情報 ]
吹きガラスの体験は6月末でいったん終了し9月以降に再開。絵付け体験は1年を通して受けられる。申し込みはホームページから。体験の1週間ほど前には済ませておこう。


 
photo: Akiko Mizuno text: Kahoko Nishimura
Hanako1092号「Club Hanako」掲載