なんだかヘンなパンに出会ったときのうれしさ。 From Editors No. 1128 フロム エディターズ 担当編集より
担当編集より
なんだかヘンなパンに出会ったときのうれしさ。
ロールパンにバターをこれでもか、とつけてほくそ笑むような、そういうパン好きです。だからいわゆる「近所のパン屋」として愛される店をたくさん取材できたことは、楽しかった。
中でも印象深かったのは、愛知県に90年続く〈コンドーパン〉。近くに来たからちょっと寄ってみたんですよ、なんて言いたくなるような(取材で来たのに)、さりげなさが素敵なお店です。どのパンも本当に安くて、甘いおやつの「三角トースト」は50円。お店を営む近藤さんに、「うちは原価だけで計算しちゃうからね」とほほえまれると、もうファンに。
そんな取材を通して、私はひとつの確からしい事実に気付いたのですが、「近所のパン屋さん」には、何かしら「ヘンなパン」がある。日々パンをつくり、お客さんの要望に応えるうちに独自の進化を遂げ、地元では普通なのだけれど、初めて見ると「?!」となるパン。
コンドーパンでは、「生クリームパン」がそれです(写真)。かつてはケーキも作っていたという近藤さんがパンに商品を絞ったとき、「でも生クリームは食べたい!」というお客さんの声に応え、生まれたパン。即、購入。
ユニークなパンに、どうして惹かれてしまうんだろう……と思ったとき、その原点として思い当たったのが、絵本の「からすのパンやさん」です。きつねパンやえんぴつパン、いろんなパンが並んだページに、夢中になった人は多いのでは? というわけで、誌面ではあの名シーンと、作者のかこさとしさんのインタビューも掲載しています。ぜひご覧ください。
(担当編集・武藤寛奈)