花のこと。 nanuk & Premium
花はいいなぁ。咲いているときの美しい姿もいいけれど、その美しさを永遠には残せない儚さもいい。中世に花の絵画が多いのは、冬の時期には枯れてしまう花を絵に残して部屋に飾り、花のない季節にもその美しさを愛でたからだとか。車や飛行機ができて、世界はどんどん近づき、地球の反対側から反対の季節の花も取り寄せられるようになった。でもだからこそ、いまこの瞬間しか楽しめないものを尊くも感じる。今日くらいは、いましかできないことを考えてみようかなあ。
絵・文/水野 学
みずの・まなぶ/クリエイティブディレクター。〈good design company〉代表。著書に『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』『センスは知識からはじまる』など。