クウネル友の会

第43回
2012.03.19更新
僕はカメラマンのマドロス陽一こと長野陽一と申します。
『島々』(リトル・モア刊)という写真集を出し、不粋なスタッフから「エッチ」などといわれています。
違いますよう、僕は島と舟を愛するマドロス(水夫の)カメラマンなのですよう。
僕が旅した島で見たこと感じたことを、みなさんにお伝えしていこうと思います。そして、いつかマドロス(水夫)からキャプテン(船長)になりたいとひそかに考えています。
http://www.foiltokyo.com/
「かりんとう」している「かりんとうまんじゅう」
昨年から東北地方で撮影する機会が多く、いま、青森の弘前中央病院の売店で買ったこの地方のお菓子にハマっている。
それは『かりんとうまんじゅう』。
黒糖を練り込んだ生地でこしあんを包み、かりっと油で揚げた福島県発祥のお饅頭。
数日前、編集部のペリカンから電話がかかってきた。
「vol.3の表紙のかりんとうですが、あれは奄美大島、加計呂麻島、どこで撮りましたか?」
クウネルが今号で10周年を迎える。それを記念し、これまでの表紙にコメントを添え展示をするという。
「奄美大島です。製造元の名前が今すぐ出てきませんが…」
随分前のことだしその場で詳細は答えられなかったが、奄美大島にある田原製菓の『黒糖かりんとう』と名前が出てくるまでに、さほど時間はかからなかった。
味の記憶とは不思議なもので、製造元や商品名はすっかり忘れていたが、食べたときの感覚は今でも憶えている。それまで「かりんとう」はガリガリ固くてなんぼ!と思い込んでいたが、この「かりんとう」はしっとりとやわらかい。“やわらかたい”と言えばよいのか、それとも“かたやわらかい”と言えばよいのか…。できたてを店先で頬張り、その味に感激した。はじめて口にする食感なのにどこか懐かしくやさしい。お土産にと山のように買って帰っただけに留まらず、結婚を記念した自身のパーティーでもクウネルvol.3と一緒に、取り寄せた『黒糖かりんとう』を引き出物にした。日本一好きな「かりんとう」だ。
『かりんとうまんじゅう』は『黒糖かりんとう』以来の、衝撃的な美味しさだ。「それはかりんとうではなく、お饅頭です」と言われようが、日本一好きな「かりんとう」の味を思い出すほどに、『かりんとうまんじゅう』は「かりんとう」している、と言いたい。これから地方ごとに違う「かりんとうまんじゅう」と出会い、製造元によっての違う味を知り、ひょっとしたら「かりんとうまんじゅう」している「かりんとう」にも、この先出会うかもしれない。
『黒糖かりんとう』から『かりんとうまんじゅう』まで。
それらと出会った年に、なにか節目のようなものを感じずにいられない。
平成24年3月19日
マドロス陽一