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〔 この冬もコロナとの戦いは続く 〕 Tarzan Editors No. 799 最新号より part 2

From Editors 最新号より part 2

〔 この冬もコロナとの戦いは続く 〕

志村けんさんが新型コロナで死亡したのはショックな出来事でした。あれは3月29日でした。コロナに対する警戒が強まり緊急事態宣言が出たのは4月7日ですが、私たちは2月27日から「ここ1~2週間が瀬戸際」と繰り返し自粛を要請されて従っていました。それが、こんなに長く続く戦いになろうとは!

ウイルス学の専門家、京都大学の宮沢孝幸さんによると、第一波で感染者の増大にブレーキが掛かり始めたのは3月15日のことで、3月28日には減少に転じてピークアウトしました。その翌日に志村けんさんが亡くなり、コロナの恐怖は緊急事態宣言を通じて拡大しましたが、実際は3月中旬に私たちが行っていた程度の自粛で十分な効果が得られたようです。

あの頃「37.5度以上の発熱がある場合4日間の自宅待機」を求められました。結果として死者が出て、4日間の待機は問題ありと判明した後、その対策は個人の「誤解」だったと厚生労働大臣(当時)が公式に見解を示しました。新型コロナについては、世間に流布する情報を自ら注意深く選別して対処しなければ危険だということです。

さて、この冬は新型コロナとインフルエンザがWで流行すると噂され、インフルエンザの予防接種を奨励する企業も多いと聞きます。免疫学の専門家、大阪大学の宮坂昌之さんに話を聞くと、南半球でも北半球でも新型コロナが流行してからインフルエンザ患者が激減しています。そもそも有効性の低い予防接種を今年に限って打つより、日常生活でコロナ予防と対策を徹底することが同じ感染経路のインフルエンザを撃退することなるようです。

ウイルスの性質がよくわからない段階では最大限の警戒が当然の反応でした。医療福祉マネジメントの専門家、高橋泰さんによればインフルエンザに比べて新型コロナは毒性が弱く、日本人の98%は自然免疫でコロナを撃退できるため、志村けんさんのケースは例外に当たります。コロナを恐れるあまり生活の規制・自粛を強めすぎると、コロナ以外の原因で健康を損なう人や死亡する人が増えるので、これからは必要十分な対処を見極めることが重要です。

例えば、会話をしない状況でマスクを常に着ける必要があるのか、無症状でもPCR検査は受けたほうが賢いのか、職場の忘年会を企画して大丈夫かどうか、今度の正月は帰省してよいかどうか、新型コロナのワクチンが開発されたら急いで接種するべきかどうか……具体的にどうするのがウィズコロナ、アフターコロナの社会において適切なのか12ページにわたり取材して個人的にも勉強になりました。きっと役に立つページです。

 
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2018年「やり遂げる!」特集でお会いした当時68歳とは思えないほど若々しく元気だった志村けんさん、あの世で見守ってください。


● 担当:S
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