こんなに大変だった表紙撮影は、ないかもしれません。 COVER STORY No.2052
COVER STORY
こんなに大変だった表紙撮影は、ないかもしれません。
にゃんこラバーたちの心をつかんで離さない猫、くまお。お弁当の具が真ん中に寄ったようなおじさん顔に、くまの名に恥じないムチムチボディ。しかも極度のビビリで人前に出ることは皆無のため、そのご尊顔を直接拝んだ人はほぼいないという。それ、伝説の龍か何かなの?
編集部一同、くまおさんの何ともいえない塩顔に心奪われてしまい、無謀だと知りながら、「でもなんとかなるんじゃね?」なんて根拠のない楽観を持って、表紙撮影にトライさせていただいたのでした。
…バチがあたった。飼い主の鎌田さん宅で、おかげで呆然としています。
そもそも、最初に取材のご連絡をした際も、
ア「3名でお伺いすると、くまおさんをびっくりさせちゃいますか?」
鎌「いえ、絶対に出てこないので、何人で来ていただいても一緒かと…」
やはり心がキレイじゃないと会えない妖精なのかもしれない。そんなハードルの高さを覚悟しつつ、くまお宅に向かってはいたのです。でも、ここまでとは。
いざご自宅のリビングに通していただいたものの、猫の気配ゼロ。え、本当に架空の生き物なの? と訝しみながら1時間ほど取材をさせていただいたのち、「ではそろそろ…」と隣の部屋から連行されたのは…あのくまおさんだ!!! じ、実在した、意外と心がキレイなのかな、私にも見えたよ!!!
と、感激はすぐに焦りに変わります。アンアン撮影隊にテンパり、スキあらばソファの下に逃げ込むくまおさん。「大丈夫、こわくないよ」と声をかけながらソファを動かす(そのままの形で座ってる)、またソファ下に避難…の繰り返し。ちょっと、ここまでの数十分で撮影できているカットは、おびえた顔だけじゃんか!
これでは表紙は夢のまた夢…と心折れかけたところで、鎌田さんから、「必殺技があるんです」との神の声。同じく猫界の大スター「どんこ」の飼い主・フォトグラファーの井上佐由紀さんが編み出した、必勝のくまお撮影術。それは、ソファのむこうからくまおを支えて、顔だけにょっきり出させること。この時点でくまおの思考が止まり、数十秒は撮影させてくれるとのこと。
それだ。その井上システムでいこう。
ということで、あやし、声掛け、格闘すること数十分。鎌田さん宅のソファの背から、脱走経路を虎視眈々と計算しているくまおさんの顔を撮影することができたのでした。撮った枚数、なんと500枚!!! 使えるカットは10カット。どんな大スターより撮影したよ、くまおさん!!
翌日、「大丈夫だっただろうか…ストレスで天岩戸の奥に引っ込んでしまっただろうか…」と心配するアンアン隊のもとに、「あのあとすぐに寛いでいました」という鎌田さんからのコメントが。よ、よかった~~。大スターくまお、ありがとう。(N)