Tarzan Editors No. 643 定例より
From Editors 定例より
ロゴス、ってやつは
あー、しんど。などとたとえば思ったとき。「でもやるんだよ」とつぶやいてみます。どうです? 抜けた力でなお進む。そのことで起こる心の動き、感じませんか? これ、サブカル系の鬼才、根本敬さんの金言です。言葉は人間をすくいます。言葉ってすごいな。
かつて「あの小説の中で集まろう」と歌ったのはTOKYO No.1 SOUL SETのビッケです。小説の不思議は昔から感じます。ベストセラーにももちろん、いい作品はある。けれども、売れている、売れていないにかかわらず、いい本があり、それを読んでいる本好きがいる。今号の「BOOK」で紹介する彩瀬まるさんの『骨を彩る』はまさにそんな佳品かもしれません。
作品は短編連作で構成されていて、どの物語にも“喪失”が用意されています。そしてそれは決して解決するわけではない。それでもなにか救いめいた予感を感じずにはいられない。人間の心の動きというやつは……。などと思ってしまうのです。これを読んでちょっと気になった方、ぜび、『骨を彩る』の中で集合しましょう。
●担当:K・H