Tarzan Editors No. 679 編集長かく語りき
Tarzan From Editors 編集長かく語りき
皆さんは、どんな子ども時代を過ごしましたか?
少年時代、思春期の頃と、いろいろな思い出がありますよね。
私は地元が東京だったため、今でも地元の連中に会う機会があります。
小学1年の同級生と銀座で飲んだり、地元の繋がりの居酒屋に行ったり……。
「変わらないな〜」と旧友は口々に言いますが、古いアルバムを引っ張り出すと、
写真の中の自分は、今とは別の人物な気もするし、意外と変わってない感じもしたり……。
そんな中、30年前の自分に出会う出来事がありました。
高校、大学の頃に関わっていた、地域の歴史の掘り起しの活動の記録が、
ある児童文学の作家の目に留まり、ノンフィクションの単行本になったのです。
掘り起しの題材は、川崎の生田にあった陸軍登戸研究所という施設です。
主人公も含め、関係者はみな仮名ですが、確かにそこには昔の私がいました。
編集者という仕事に興味を持つキッカケとなった、ある意味での原点。
この作家は、未熟だった高校生の自分たちが感じ取れた「何か」を、
とても丁寧な取材活動を通じて、私に思い出させてくれました。
いわば、大人になった自分への、高校生だった頃の自分が与えてくれた夏休みの課題図書。
ご興味を持たれた方は、書店の児童書のコーナーを覗いてみてくださいね。
(いしいゆみ著『君たちには話そう 隠された戦争の歴史』くもん出版)
●『ターザン』編集長 大田原 透