Tarzan Editors No. 690 最新号より
From Editors 最新号より
もちろん、返却までがお仕事です の巻
こんにちは、今号では表紙と巻頭を担当しました編集KHです。鬼、すごくないですか? 描いてくださったのは、言わずと知れた巨匠、永井 豪先生です。ところで、先生との原稿の受け渡しは、今どきのデータなどではなく生原稿にておこなわれましたので、いただいてから編集部に帰る道すがら、自分は久しぶりに心の底から緊張いたしました。世界にたったひとつしかない生原稿、どんな間違いもなりません。
先生の事務所を後にして、向かってくる自転車がひったくりに見えました。電線で鳴いているカラスはこの封筒を食べ物と勘違いしていないでしょうか。電車の網棚に置き忘れるなどという古典的な失態は割腹ものです。目の前で咳をしているひとのその飛沫が封筒をくぐり抜けて線画の墨汁を濡らしはしないか。走り去っていく地下鉄の風圧が封筒をさらいやしないか。カードをチャージしているほんのわずかのあいだに置き引きされないか。こんな被害妄想みたいなことばかりに心を奪われていて逆に封筒を持つ手がおろそかになっていないか……はあ、はあ、はあ。なんとか僕、やりとげました。気絶。
●担当:編集KH