Tarzan Editors No. 692 編集長かく語りき
Tarzan From Editors 編集長かく語りき
神奈川の奥座敷、丹沢山塊。
ここで野生のカモシカを見たのは、学生の頃。
で、久し振りに見かけました、つい先日!
ニホンジカは山ほど見るけど、これは珍しい。
場所は、お休み中のユーシンロッジのさらに奥、棚沢の頭への急登の途中。
行く手の登山道を堂々と塞ぎ、凛として立つ、このエリアの国特別天然記念物さま。
近づけば逃げるニホンジカと違い、目を逸らさないし、逃げもしない。
ハンターの狩猟の対象でないのを、よ~く知っている。
賢く、ズングリむっくりだがカッコ良い。
でも、困ったコトに、道は塞がれたまま……。
仕方がないので、身振り手振りと日本語で語りかけるが、
馬耳東風ならぬカモシカ耳南東風(この日は南東の風でした……)。
ワタシ ハ、ソコ ヘ、イキタイ。
チョット、ドイテ、クレマセン カ?
不毛なのは百も承知だが、相手は、国特別天然記念物さま。
当方も、平和的な解決方法を取らざるを得ない。
超~長~く感じた3分が過ぎ、国特別天然記念物さま、登山道からご退出。
太く短い脚で、毅然と去ってゆく。
ズングリむっくりの後姿は、やはり素敵だ。
で、現物を見るたびに感じるのは“カモシカみたいな脚”という褒め言葉。
正確には、“ニホンジカみたいな脚”に改めるべきだろう。
どう見たって、“細め”じゃない……。
●『ターザン』編集長 大田原 透