えー!? モデル撮影の時だってあんまり英語話さないじゃん。 Tarzan Editors No. 726 最新号より
From Editors 最新号より
えー!? モデル撮影の時だってあんまり英語話さないじゃん。
その昔、通訳を目指していたころ(自分は総理大臣も目指したことがあります……)、外国人の知り合いと電話で話をしていて、ふん、ふん、ふん、ふん、と頷いておりました。すると突然その女性は話を中断し、いま私が何を話したか繰り返してごらんなさい、と言いはじめたのです。自分は、う、と言葉に詰まりました。というのも、ほとんどヒアリングできていないくせにそれを悟られるのが恥ずかしくて、調子のいい相槌を打っていたからです(ちなみに彼女は美人でした)。
こんにちは、今号では巻頭を担当いたしました編集KHです。「タンパク質が大切な理由」ページではドイツ人のイラストレーター、クレメンス・メッツラーさんとはじめてお仕事をさせていただきました。クレメンスさんは関西ご在住なので、打ち合わせはすべて電話となりました。
「ニホンゴハダイタイワカリマス。ケレドモ、ワカラナイコトモアリマス。ワカラナイコトハ、コチラノトモダチニキクカラ、ダイジョウブデス」とおっしゃるクレメンスさんに、自分がしゃべる日本語は果たしてわかりやすくしゃべられているのだろうか、というメタ認知的な心持ちで、ゆっくりと説明をすることにします。
するとクレメンスさんは自分の伝えた要点を繰り返したうえで最後に、「ダイタイワカリマシタ。トコロデカクニンデスガ、ケッキョクワタシハナニヲカケバイイデスカ? ジンブツデスカ? モノデスカ? アルイハ、イメージデスカ?」自分は伝え方にばかり気を取られるあまり、肝心要の何を描くかという説明を欠いていたのでした。クレメンスさん、あなたのおっしゃるとおりだ。ああ……。
ということで、自分の拙いコミュニケーションに一抹の不安を残しつつ進めたお仕事ではありますが、その結果のほどはぜひ本誌をごらんください。精緻なペンタッチで表現された、そこはかとない和のココロ。イラストレーターの方とお仕事をしていて、自分のイメージ通りというか、それをはるかに凌ぐものが上がってきたときほどうれしいことはありません。クレメンスさん、ぜひ、またよろしくお願いいたします。
●担当:編集KH