マガジンワールド


From Editors 編集部こぼれ話

お取り寄せの世界は深い。

今回のお取り寄せ特集の肉と魚のコーナーで取材、セレクト監修をしてもらった来栖けいさん。幼い頃から食べることに情熱を感じていたという来栖さんは、15歳(高校1年生)から単身で生活、そこから本格的な食の探求が始まったといいます。今でも時間の許す限り、レストラン、パン屋など食品店、ラーメン店など専門店を食べ歩き、しかも取り寄せまでして自らの食卓で味合うという来栖さん。まさに人並みはずれた「舌」「胃袋」そして「食への愛情」で、全身全霊を食に捧げた生活を送られています。

自らの肩書きを”美食の王様”とする来栖さんですが、その名にふさわしい前人未踏の食のフロンティアを行く凄みをも感じました(ご本人はまるでアニメから飛び出してきたような素敵な風貌キャラクターではありますが、実は赤いフレームの眼鏡の奥の眼はシャープにキラリと光っているのでした)。

そんな来栖さんとあれこれお取り寄せ品を吟味したときに最初に候補に上がったのが、「見島牛(みしまぎゅう)」でした。朝鮮半島から山口・萩の見島(山口県の北方45kmの日本海に浮かぶ孤島)に渡来し、混血することなくその純血を保ち日本で最も古い和牛として、国の天然記念物にも指定されているという「見島牛」。そんな希少価値の高い牛ですが、年間決まった分量が食用に回されることがあります。もしタイミングがあうならと思い、さっそく販売元のミドリヤファームに問い合わせましたが、残念ながら出荷の予定がないとのことで今回の取り寄せ取材は見送ることになりました。ただし12月下旬には出荷があるかもしれないということなので、関心のある方はぜひ問い合わせてみてください。(見島牛と見蘭牛のお店ミドリヤファーム

ちなみに来栖さんがその著書『美食の王様のお取り寄せ』(筑摩書房)で記述している『見島牛』のお味とは……「自然な霜降り肉から放たれるピュアで高貴な香り、さらには口中に広がるその濃厚な旨み、甘みを実感すると、この素材に対する敬意の念がより一層高まります。サシが入った部位であろうとも、しっかりした赤身のおいしさを実感できるところが素晴らしいですね」

そんな「見島牛」のお取り寄せは叶いませんでしたが、他のお取り寄せ結果はぜひ誌面でご覧ください。どれもすぐにオーダーしたくなる逸品ばかりです。

撮影用に届いた品々を切り分けたり盛りつけたりする来栖さんの手先はとても繊細な動きで、料理人としての腕の確かさも感じました。現在自分の理想とするレストランの新規オープンも準備中とのことで、こちらもとても楽しみですね。今回来栖さんは包丁一本でスタジオにやってきて本鮪から鯖寿司、野菜までさくさくっと切り分けてましたが、その包丁=ナイフはイタリア・トスカーナのナイフ工房BERTI社のもの。何事も形や道具から入る私、担当者としては、じつに欲しい!と思った1本なのでした。日本には一部の商品が輸入されているものの、来栖さんによると本当に自分にあった1本を見つけるためには現地に行くしかないとのこと。見島牛とイタリア製ナイフ、お取り寄せページなのにお取り寄せ叶わぬという2つが個人的には心に残り後を引きますが、実際にお取り寄せした食品ももちろん美味、最高でした。ああ、お取り寄せの世界は何とまあ深いことでしょう!

愛用のイタリア製ナイフ(包丁)で鯖寿司を切り分ける来栖さん。
愛用のイタリア製ナイフ(包丁)で鯖寿司を切り分ける来栖さん。

取り寄せた調理済みシチューも丁寧に盛りつける。繊細な指先の動きからは食に対する来栖さんの敬意が伝わってくるかのよう。
取り寄せた調理済みシチューも丁寧に盛りつける。繊細な指先の動きからは食に対する来栖さんの敬意が伝わってくるかのよう。

来栖さん愛用のナイフ(包丁)はイタリア・トスカーナ州のナイフ工房BERTI(ベルティ)社製。柄にはアフリカ産水牛の角を使い、熟練の職人技による3段階の工程を経た刃の切れ味も抜群。
来栖さん愛用のナイフ(包丁)はイタリア・トスカーナ州のナイフ工房BERTI(ベルティ)社製。柄にはアフリカ産水牛の角を使い、熟練の職人技による3段階の工程を経た刃の切れ味も抜群。


(担当編集TK)