マガジンワールド

From Editors 編集部こぼれ話

特集に登場する最高齢の女性に美を感じた!

年齢が倍以上の心ひかれる方に会う機会が減っています。

わたしが駈け出しの編集者だった20代の頃は、年齢が倍以上といっても50歳そこそこでしたから、取材で年齢が倍以上の心ひかれる方に会う機会は多く、そのたび緊張したり舞い上がったり。あれから20年。わたしも40代。年齢が倍以上というと90代になってしまいます。めったにない。でも今回、98歳の吉沢久子さんに取材する機会がありました。

「もしもし、クロワッサン編集部の坂田と申しますが」
「はい、吉沢です」

お電話すると若々しい声でご本人が出られて、スケジュール管理を自分でなさるので驚きました。何でも自分でするように心がけている。でも90歳過ぎると体力が落ちて、できないことも増えてくる。

「遠くに出かけなくてもね、お庭にも美しいものはたくさんあるのよ。体力のある若いころは見過ごしていた美しいものがたくさん!」

ご自宅へ取材に伺ったとき、美しいものを見逃すなと語る吉沢さんの若々しい声に耳を傾けながら、ときどき目をとじるとそこに可憐な乙女がいるように感じました。美しいものとは、吉沢さんの心だ。わたしもいつの日か吉沢久子さんのように心が若い、美しい存在になりたいと思いました。わたし男なんですけどね。

庭のミントを氷水に入れて出してくれました。
庭のミントを氷水に入れて出してくれました。

 
(編集SS)
クロワッサン No. 931

よりそう言葉、はげます言葉。

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