“凄すぎるNEXT”たちが従う、シンプルな法則。 From Editors No.2067
From Editors
編集部リレー日誌
“凄すぎるNEXT”たちが従う、シンプルな法則。
この特集で最初に取材することになった、ピアニストの藤田真央さんのインタビュー冒頭のそんなひと言にはじまり、この数か月、お会いする“NEXT”たち(=いま、各界で比類ない活躍を見せている若き天才たち)の言動に、驚かされっぱなしでした。私が担当した企画「凄すぎるNEXTたちの言葉」でご出演いただいたのは、体操選手の杉原愛子さん、卓球選手の加藤美優さん、囲碁棋士の藤沢里菜女流本因坊、そして藤田真央さん。いままさに、業界外にまでその活躍っぷりを轟かせている方々です。
時に何千人もの聴衆を目の前にしながら、しかも自分の将来を左右するようなコンクールであっても緊張することがない。それ自体がもうすごいことなのですが、それ以上に私が驚いたのは、彼が口にしたその理由。「毎日一生懸命練習しているのは、“みなさんに聴いていただくため”なわけですからね」。……たしかにね!! そりゃそうだ!! もう、どこをとってもひっくり返しようのない、動かざること山のごとしな正論なわけです。しかし、それを頭でわかっていても、余念がわらわらと生じてしまうのが、凡百の人間というもの。つまり彼は、頭で理解するのではなく、心と体のすみずみまで、そのシンプルな理論を沁みわたらせている。極めてピュアに、“人に聴かせるために弾いている”のです。
そう、このピュアであるということは、他のNEXTの方々にも共通するところでした。
「熱中する対象を早くに見つけていること」「生来の才能を持っていること」「快適なトレーニング環境」「努力に見合う称賛を得ていること」「良きライバルの存在」「家族や友人のバックアップ」「将来に対する明るい展望」……。
若くして突出した才覚を現している彼・彼女らのすごさのワケを因数分解してみると、出てくる要素はわんさか。でも、その中心近くにある、より重要なファクター。それは、ピアノならピアノ、囲碁なら囲碁など、自分が選んだ対象にどれだけピュアに向き合うことができるか、なんじゃないか。そんなふうに思わされました。
……なんだか、ありふれた結論だなぁって、思いました? 自分で書いておきながら私も思うのですが(笑)、誌面をご覧いただければ、きっとご理解いただけるはず。「好きこそものの上手なれ」。そんなありきたりな、ちょっと間抜けなほどに実直な、シンプルなそのことわざに、もう一度襟を正して向き合ってみよう。そう思わせてくれる、NEXTたちの言葉の数々です。(TK)