From Editors 編集部こぼれ話
手間を惜しまない、精進料理の心得。
近頃、お坊さんがブームのようです。お坊さんをゲストに迎えたバラエティ番組が人気になり、『Buddhist 今を生きようとする人たち』『ボクはお坊さん。』といった映画も上映されています。その流れに乗ったわけではないのですが、「クロワッサン」でも一人のお坊さんに取材しました。河口智賢さん、山梨県耕雲院の副住職。「典座」(修行僧の食事を作る役割)の経験を生かして、料理教室もひらいています。今回、昆布や椎茸、大豆などでひく「精進出汁」を教えてもらいました。くわしい作り方は本誌を見ていただくとして…。私が感動したのは河口さんが料理するその姿勢なのです。たとえばしめじを切るときは、固い部分は食べやすく細かく切り、決して無駄にしない。豆腐は味がよく染みるよう、手で崩す。食べる人のことを考え、手間を惜しまず、食材を無駄にしない。必要な量を、感謝の気持ちとともに、丁寧に食べる。料理をすること、食べることがそのまま修行であるという、曹洞宗の開祖道元禅師の教えが今も生きていることを、目の当たりにした体験でした。
(編集KI)