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無駄のない空間で学ぶ”収納の極意”。 クロワッサン 編集部こぼれ話 No.951

From Editors 編集部こぼれ話

無駄のない空間で学ぶ”収納の極意”。

起きて半畳、寝て一畳、という言葉がある。東京・根岸にある江戸指物師、戸田敏夫さんの工房は、まさに一畳のなかに製品作りに欠かせない道具が、用途ごとにびっしりと、かつ整然と並ぶ。「この仕事は狭いところじゃないと落ち着かないんですよ。職人はどんな広い場所でも壁が使える部屋の隅で作業してますよ」と戸田さんは笑いながら話す。製作工程を見せてもらうと、その狭い空間に収まったノコギリ、ノミ、鉋などの道具を時に手を伸ばしたり、中腰になりながら取り出して使い、終わると収める作業を繰り返す。まるで無駄を省いた収納のお手本。戸田さんが作った文箱を見せてもらう。”銀杢”と呼ばれる桑の木特有の木目の美しさに圧倒される。戸田さんは「実用品ですよ」と話すが、ずっと眺めていたくなるような工芸品である。「何も足さずに、削ぎ落とすことに専念するのが難しいですね。今もどこで完成とするのか悩みますよ」戸田さんのそんな言葉に、一切の装飾を省いたからこそ生まれる”美”を感じるとともに、収納の極意を学んだ気がしました。

(編集K・M)
 
手を伸ばせば届くところにほとんどの道具を収納。
手を伸ばせば届くところにほとんどの道具を収納。
完成までに3か月を有して作られた文箱。
完成までに3か月を有して作られた文箱。
引き出しに収まったノミ。戸田さんは作業のなかで瞬時に使うノミを取り出す。
引き出しに収まったノミ。戸田さんは作業のなかで瞬時に使うノミを取り出す。
30年来変わらない工房で話をうかがった。
30年来変わらない工房で話をうかがった。
ミニ鉋も用途に合わせて使い分ける。
ミニ鉋も用途に合わせて使い分ける。
ほぞ切りと呼ばれる江戸指物特有の工程。
ほぞ切りと呼ばれる江戸指物特有の工程。
クロワッサン No. 951

捨てるか、完全収納か。狭さに、挑戦!

509円 — 2017.06.09
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クロワッサン No. 951 —『捨てるか、完全収納か。狭さに、挑戦!』

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