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納税は人のためならず?  お取り寄せ観の変わる「ふるさと納税」。 クロワッサン 編集部こぼれ話 No.985

From Editors 編集部こぼれ話

納税は人のためならず? 
お取り寄せ観の変わる「ふるさと納税」。

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この写真、なんだかおわかりになりますか? 「ふるさと納税特集」の撮影のために、全国から送っていただいた美味しいものがギッシリ入った冷蔵庫です。左端に立派なメロン、その右の白い箱にはローストビーフが入っています。手前の木目調の箱にはしゃぶしゃぶ用のお肉が1キロ。
この3年ほど、「ふるさと納税」の研究に凝っているわたくし。以前、すでにこの魅力にハマっていた友人から話を聞いた時には、「そんな美味しい話があるわけないわー」と話半分、他人事のように思っていました。だって、自分で買えば何万円もする和牛!蟹!お米!が、2,000円の自己負担だけで、全国の飛び切りの名産地から送ってもらえるなんて、俄には信じられませんよね。2,000円といったら、たまに奮発して行く牛たん屋さんのランチに、2回行ける金額です。そんな夢のような話があるかしら? とグズグズためらう私に友人は、インターネット上の便利なサイトの名前と、いくつかのオススメの品を挙げてくれ、「やってみなはれ」と言いました。
それから3年経ち、私は小誌の企画会議の場で、「いま<お取り寄せ>を取り上げるなら『ふるさと納税』のページを作らないと!」と熱く語るまでになりました。実はこの<3年>というのは一つのキモで、全国的にふるさと納税ブームが来たのはまさしく3年前、2015年です。簡単に言うとこの年から、ふるさと納税枠が倍になり、同時に寄付した後の還付手続きもぐっと簡略化されたのです。なんだ自分、ブームに乗っただけでしたわ。
ふるさと納税の素敵なところは、寄付した人のお得感だけではありません。今回の特集を作るにあたり、「ふるさと納税を上手に役立てて、みんなが幸せになった町」を探しました。その一つは山形県天童市。山形県は洋梨のラ・フランスやさくらんぼの産地です。天童市にも生産農家さんがたくさんありますが、県内の他の自治体に無いプラスαの工夫をしました。それが、将棋の駒のストラップを、お礼品のおまけとしてつけることです。実は天童市は将棋の駒の生産高が日本一なのです。
折しも、いまの日本は将棋ブーム。藤井聡太七段や羽生善治竜王、「ひふみん」こと加藤一二三九段はみんな大好きですよね。天童市にふるさと納税をすると、手彫りの将棋の駒ストラップの裏に、希望する名前を彫って送ってくれます。小さなおまけと軽んじるなかれ。撮影用にいくつか送っていただきましたが、さすがの手彫り、質の良さが一目でわかるものでした。あまりに素敵なので、つけていると運気が上がるんじゃないかとさえ思えます。
この小さな贈りもの、受け取った納税者から、次はこの名前で、その次は…とリピーターがどんどん増え、市の名前は多くの人に知られるようになったそうです。長年の減少傾向にあった駒の生産高も大きくV字回復。伝統的な産業としてのプライドを取り戻し、後継者問題も解決の兆しが見えてきました。
このように、大きな自治体ではなくても、その町や村で頑張っている方々の、新しいものを取り入れる気持ちと創意工夫によって全国規模で注目を集めることができ、地域が大きく潤い、自信を取り戻して活気づく。「ふるさと納税」は、この仕組みがとても良いのではないかと思うのです。
「黒和」とはクロワッサン用に彫っていただいたもの! その他にもこの号には、編集部が厳選したおすすめの「ふるさと納税」情報がたくさん載っています。お礼の品の紹介もたっぷり。その天童市の将棋駒ストラップの写真はこちらです。ぜひ、お手にとって見てくださいね。
(編集E)
 
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手みやげ、お取り寄せ、贈りもの。

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