毎日の大豆習慣で、「ホルモンケア」を。
毎日の大豆習慣で、ホルモンケアを。
1日2回摂る、と考えてください。
石渡尚子さん
跡見学園女子大学 マネジメント学部
生活環境マネジメント学科 教授
「『先生がいちばん元気だね』と、学生が感心するくらい、私は元気ですね。肌のやわらかさだって、10代、20代に負けていませんよ。普段からバランスを考えながら大豆を食べていますもの」
満面の笑みの石渡尚子さん。現代人の食生活を、「実は低栄養。肥満をおそれるばかりに、たんぱく質が不足している」と指摘する。
自身は、朝は豆乳ミルクティーを飲むのが習慣。一汁三菜の和食を基本に、納豆、煮豆、豆腐料理、味噌汁など、1日2回以上大豆を取り入れる食生活だ。たんぱく質は、肌をはじめ体を作る大切な成分。
「毎日、バランスよく摂る必要があるんです」
知ってのとおり、大豆は美容と健康成分の宝庫。大豆たんぱく質や大豆イソフラボンなど、20種類以上の機能性成分が含まれる上、三大栄養素や食物繊維も摂れる食材だ。
「ヒトが作れない成分で含まれていないのはビタミンAとCくらい。大豆に色の濃い野菜を組み合わせれば、基本的な栄養素は、ほぼ揃うんです。主食・主菜・副菜を意識しながら大豆を食べていれば、細かい栄養計算を気にしなくても大丈夫。体のために何を食べたらいいか、献立をシンプルに考えられるのがいいでしょう?」
大豆イソフラボンの研究を長年続けてきた石渡さん。そのきっかけは、母親の更年期障害だった。
「母はホットフラッシュや頭痛がひどくて、毎日死にたいとまで言ってました。それがホルモン補充療法(HRT)を始めたら、数日でケロッと元気になったのです。女性ホルモンがいかに重要なものか、そのパワーに驚かされました」
石渡さん自身は、月経前症候群(PMS)による眠気、頭痛などの症状が大豆イソフラボンの摂取で改善。
「でも面白いことに、イソフラボンだけを抽出し濃縮したものを摂れば効果が何倍にもなるかというとそうでもないんです。結局は、大豆の栄養成分が総合的に女性の体に効いている。各成分の相加相乗効果は、はかりしれないと考えています」
大豆イソフラボンは、
腸内細菌でエクオールに。
最近、大豆イソフラボンからエクオールという成分を作れる人と作れない人がいることがわかってきた。その差は腸内細菌の違い。大豆の女性ホルモン様作用の恩恵を受けるには、エクオール産生者のほうが有利だ。
「エクオールを産生できる人は、日本女性の2人に1人と言われていますが、大豆の栄養成分にはさまざまな機能があり、女性のお助け食材であることは間違いありません。できるだけ食品で大豆をとり、とれなかった日にはイソフラボンのサプリやエクオールのサプリを活用するといいですね」
一度に大量に摂る方法では、血中濃度が一気に上がり、その後、急激に下がってしまう。これはヒトの体にとって、好ましくない摂り方。
「血中に取り込まれたイソフラボンは約6~8時間後には半減してしまいます。女性ホルモン様効果を期待するなら、体内で一定の濃度を保つように大豆をこまめに食べるのがおすすめ。少なくとも午前と午後と2回食べれば、ベースができます。私はおやつにも煮豆を食べています」
石渡さんは今後、ホルモンケアの重要性を伝える活動をライフワークにしていきたいと考えている。
「研究者として、女性の健康をサポートするという使命感に燃えているんです。仕事を全うするためには、健康であり続けないと。更年期症状がつらくなってきたら、私はHRTを活用します。もちろん、大豆イソフラボンも併用していきます」
エクオールは腸内細菌が作っている。
各国でのエクオール産生者の割合。
女性の味方「エクオール」、手軽に摂取できます。賢く活用して、体の変化を穏やかに。
大豆特有の機能性成分
低栄養を解消するのが1日2回の大豆です。
「まずは1日2回、大豆を食べる意識を持ちましょう。それだけで、自然に動物性食品や油の摂取が減らせます」
忙しい日は、豆腐や納豆で充分。
「納豆に青ねぎや大根の葉、オクラなどをたっぷり、じゃこ、めかぶ、ごま、青のりを混ぜて、ご飯にかけるのが私の定番。これで栄養素をバランスよくカバーできます」
和食以外にもいろいろ使える。
「大豆ってかさ増し食にもなるんです。炊いた大豆をつぶしてハンバーグやミートソースに入れると、カロリーも抑えられる。スープに入れれば、腹持ちもよくなります」
産生者かどうかを尿検査でチェック。
エクオール産生者かどうかは、簡単な尿検査でわかる。郵送でOKの検診キットなら、送付から約10日で結果が届く。ソイチェック3,800円(ヘルスケアシステムズ ☎03・5281・9811)