マガジンワールド

『女性ホルモン特別講座』自分の体は自分で守る。

女性ホルモン特別講座
自分の体は自分で守る。

女性の一生はホルモンとともにあると言っても過言ではありません。
減り始める年齢になったら、考えることがあります。
撮影・岩本慶三 ヘア&メイク・遠藤芹菜(小野田さん) 文・及川夕子

第1部

数カ月試して実感することも。HRTは自分で決める治療法です。

岡野浩哉さん
おかの・ひろや 産婦人科医、飯田橋レディースクリニック院長

群馬大学医学部卒業。医学博士。東京女子医大で更年期専門外来を担当。米国メイヨ・クリニックで女性医療を学んだ後、女子医大講師を経て、2008年に開業。
群馬大学医学部卒業。医学博士。東京女子医大で更年期専門外来を担当。米国メイヨ・クリニックで女性医療を学んだ後、女子医大講師を経て、2008年に開業。
更年期障害の実態調査データも紹介。病院受診は4人に1人。治療できることを知らない、受診すべき科がわからない人も。我慢している人が多い現状が浮き彫りに。
更年期障害の実態調査データも紹介。病院受診は4人に1人。治療できることを知らない、受診すべき科がわからない人も。我慢している人が多い現状が浮き彫りに。



第2部

女性を応援する成分「エクオール」は、肌のシワにも効果が。

小野田敦子さん
おのだ・あつこ 大塚製薬 佐賀栄養製品研究所 研究員

静岡県立大学薬学部卒業後、東京医科歯科大学大学院。乳がんに対するエクオールの安全性の基礎研究を担当。好きな言葉は「一期一会」。
静岡県立大学薬学部卒業後、東京医科歯科大学大学院。乳がんに対するエクオールの安全性の基礎研究を担当。好きな言葉は「一期一会」。
エクオールの機能、体内での作られ方などを展示したコーナー。日本人女性でエクオールを産生できる人の割合は約半数。若年層になるほど、割合は低下する傾向にあります。
エクオールの機能、体内での作られ方などを展示したコーナー。日本人女性でエクオールを産生できる人の割合は約半数。若年層になるほど、割合は低下する傾向にあります。
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エストロゲン様作用をもつ「エクオール含有食品」。1日4粒で、エクオール10mgが摂取できる。第3部で試食しました。




第3部

岡野さん、小野田さんとの意見交換で疑問が解けました!

ソイチェックじゃんけん大会。じゃんけんに勝った10人が、エクオール産生者かどうかを調べる尿検査「ソイチェック」を受けました。
ソイチェックじゃんけん大会。じゃんけんに勝った10人が、エクオール産生者かどうかを調べる尿検査「ソイチェック」を受けました。
質問タイムには、参加者から次々と手があがり、関心の高さが窺えました。
質問タイムには、参加者から次々と手があがり、関心の高さが窺えました。
低用量ピルやコレステロール値など、具体的な質問も次々と出ました。
低用量ピルやコレステロール値など、具体的な質問も次々と出ました。
大豆アレルギーだったら? 食べ合わせは? エクオール含有食品の摂り方に関する質問も。
大豆アレルギーだったら? 食べ合わせは? エクオール含有食品の摂り方に関する質問も。



 

HRT(ホルモン補充療法)は、更年期に減り始めた女性ホルモンを、飲み薬や貼り薬などで補う治療法。更年期障害の症状緩和、骨粗鬆症予防など、メリットの多い治療法ですが、副作用については誤解も多いようです。

そこで第1部は、「HRTを味方に!」をテーマに、婦人科医・岡野浩哉さんがHRTの正しい理解や使い方・選び方などを詳しく解説。

「更年期の症状は〝症状のデパート〟と称されるほど、ホットフラッシュ(発汗、ほてり)をはじめ、頭痛、不眠、うつ気分など多岐にわたります。女性ホルモンであるエストロゲン製剤を投与するHRTは、更年期の究極の治療法であるにもかかわらず、最初に婦人科へ足を運ぶ女性が少ないのが実態」と岡野さん。

「HRTを試して調子がよくなると、もっと早く知っていれば……と話す女性は多い。HRTは自分で選ぶ医療。健康情報を読み解き、よりよい治療法を選び取るという、ヘルスリテラシーを磨くことが大事なんです」

岡野さんは、更年期障害の診断基準やHRTの有効性についても説明。

「HRTで治療できる条件は、①更年期であること、②他の疾患に起因していないこと、③生活に支障をきたしていることの3つ。症状の重さ、つらさは本人にしかわかりません。自分で評価してドクターに伝えましょう」

HRTの副作用については、「皆さんが気にする乳がんですが、5年以上投与した場合でも、乳がんの家族歴がある人や出産経験のない人と比べれば発症リスクは低い」と岡野さん。

生活習慣がよいとされる日本人女性が更年期に始めるHRTでは、まず副作用は問題にならないそう。薬の種類や投与方法、投与量などで安全性は変わってくることも学びました。

「人生は自分で決めないともったいない。HRTはいつでもやめられます。まずは数カ月試して、よいか悪いかは自分で判断してみては」という岡野さんのアドバイスに、参加者たちは、うなずきながら聞き入っていました。

続く第2部は、大塚製薬の研究員・小野田敦子さんが、スーパーイソフラボンとして注目を集める「エクオール」という成分について解説。

「大豆イソフラボンのうち、ダイゼインという成分が腸内細菌の働きによってエクオールになります。これが、女性ホルモンのエストロゲンのような働きをします」

 
エストロゲンに似た構造・働きで
更年期世代の美と健康を守る。
閉経後女性の肌のシワが減少
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試験対象者:閉経後5年未満の日本人女性101名(45-65歳、エクオール非産生者)
試験食品 :プラセボ、エクオール10mg/日、エクオール30mg/日
試験期間 :12週間(1日2回摂取、朝食・夕食後)
閉経後5年未満の女性に行った試験では、エクオールの摂取で目尻のシワが浅くなる改善効果が認められました。有効量は1日10mg以上。
出典:A Oyama, et al., Menopause 2011

近年、このエクオールを体内で多く産生できる人は、更年期症状が軽いことがわかってきました。

「うれしいことに、更年期女性の骨量維持にも有効。さらに、糖尿病、動脈硬化、悪玉コレステロールなどの指標を改善する効果や肌のシワ改善にも効果が確認されています」

大豆製品を摂れば、誰でもエクオールを作れるわけではなく、日本人では50%がエクオールを作れません。今回、参加者から10人を尿検査したところ、産生者は5人。ただ、エクオールを作れない人も諦めなくて大丈夫。

「大豆の粉を発酵させて作ったエクオール含有食品を摂れば、誰でもエクオールの生理作用を得ることができます。産生者であっても、腸内環境の乱れや抗生剤を服薬することによって作れなくなることもありますから、こうした食品を上手に活用するといいですね」

第3部は、ディスカッションタイム。参加者からたくさんの質問が投げかけられ、濃密な意見交換が行われました。

「HRTはいつ始めていつ終えたらいいの?」という質問には、「最終的には自分で決めていくこと。リスクとベネフィットを理解し、なぜHRTをするのか、目的を持って撰択することが重要になります」と岡野さん。

「HRTを始めるタイミングを逃してしまった場合は?」という質問も。

「世界的な基準では、60歳以上または閉経後10年以上の人には慎重投与になります。骨量が減る前、血管もしなやかな状態で始めることが理想的です。でも、できなくはないので、経験の豊富な医師を選んで相談してください」(岡野さん)

一方、食品であるエクオールは、HRTとの併用も可能で、更年期以前でも、更年期後でも摂れます。

「閉経後の人生も健康で自分らしく生きていくためには、自分で自分をケアしてあげることが肝心。エクオールはその一つの手段になると思います」(小野田さん)

「前向きにヘルスケアに取り組みたい」「HRTをやってみたい」「有意義だった」という声が聞かれた一日でした。


 

問合せ先・大塚製薬☎0120・550708 http://www.otsuka.co.jp/