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この護符で……。 クロワッサン 編集部こぼれ話 No.1027

From Editors 編集部こぼれ話

この護符で……。

ちょっと前に、中日新聞に掲載されたしりあがり寿さんのコラムが大きな反響を呼びました。テーマはこのコロナ禍を私たちはどう乗り切るかというもので、しりあがりさんは、コロナが強いる日常の不自由やストレスをスポーツの試合に例えていらした。何のための不自由やストレスであるか? それはスポーツの試合とセットになっているルールとおなじ、選手(国民)はこの試合(コロナ禍)に勝つために、みんなでこれを守っているのだと。〈いざ試合が始まったら個人の自由よりチームの勝利を優先しないといけないよね。ボクは今、自分を兵士と思うより試合中のプレーヤーだと思いたい。〉
未知のウイルスは、未知であるがゆえに恐怖です。恐怖を覚えると人は攻撃行動に出ると言われていますが、緊急事態宣言中の“自粛警察”に代表される、相互監視や同調圧力のあのイヤーな感じはきっとそういうことだったのかもしれません。どう考えてもウイルスが意図して人間を翻弄しているとは思えないので、人は自らの弱さによって己の闇をさらけ出しているという構図。しかしながら、弱さにつけ込まれてしまうのが人間の性であるならば、人の考え方に触れて勇気が与えられるのも人間の才能です。しりあがりさんのコラムは、行き先の見えない闇を照らす小さな灯のようでした。
そんなしりあがりさんに、コロナによって幕を開けた“ニューノーマルな日々”の過ごし方をじっくりと聞きましたので、ぜひ、本誌をご一読ください。コロナがなければ今頃オリンピックで沸きかえっていたはずのこの国は、間違いなく後年の世界史の教科書でゴチックになるような稀有な体験をしているのでしょう。取材後にしりあがりさんは「こんなものを作りました」と絵葉書(写真)を見せてくださいました。近年のライフワークである、北斎へのオマージュアート。厄病除けの神・鍾馗様が踏みつけているものは……。みなさん、共にがんばりましょう。
 
(編集KH)
 
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「フェイスシールドを装着して取材に臨むのははじめてです」
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葛飾北斎の〈朱描鍾馗図(しゅがきしょうきず)〉を題材に。護符として編集部にも貼りました。


クロワッサン No. 1027

幸せに生きる人たち、それぞれのルール。

580円 — 2020.08.11
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