第105回「ポジティブエロシンキングで行こう!」
第105回「ポジティブエロシンキングで行こう!」
初のタイミング法でラブ(セックスです)して、生理が来る日まで約二週間くらい。もうその近くになるとそわそわするわけですよ。妻に「胸張ってる?」とか「生理来そうかな?」と何度も聞いてしまったり。男性なんかよりも女性の方が気にしてるわけだから聞いちゃいけないのかなと思ったり。
妻は今まで生理がちゃんと来る方だったから、一日遅れたりしたら「よし」とか思って、二日遅れただけで「もしかして」とか思う。妻はこれまで妊娠の経験が二回あるので、僕よりも冷静。ちょっとウキウキする僕を制止するように。(今、「制止」と打とうとしたら「精子」と出て来た。さすが妊活中のワープロです)
そして三日目とかに妻から「生理きました」とのメール。このメールに落ち込むのではなく、「また来月もラブ♡ 出来る」とポジティブエロシンキングするようにする。
翌月、二回目のタイミング法を試してみましたが、やはり生理が来る。残念感がないかといったら嘘になる。だけど、僕ら夫婦なんて妊活に入り、実際に行動に移してからこの時点では二か月しか経ってない。この僕らの残念感ってたいしたことはない。このまま子供を授かることがなければ、この残念感は、日に日に大きくなっていくし、年を重ねると焦りも大きくなるはずで、僕らの感じた残念感の10倍、いや100倍以上のものを毎月感じている人もいる。
妊活している奥さんは毎日基礎体温を付けている。うちの妻も付けている。男性は病気にでもならない限り体温はあまり変わらないけど、女性はそうじゃないんだってことを知って驚く。正直、基礎体温とか測って、あれ、どんな意味があるんだろうと思っていたけど、女性の体は排卵期が近づくと体温が高い時期に突入し、生理が始まる頃からグっと0.5度ほど下がって、低い周期に入る。
ちなみに、噂で聞いた雑学ですが、「おふくろの味」という言葉があります。毎日食べている「おふくろの味」はなぜ飽きないか? 女性は体温が変わっていくとともに、味覚も月のサイクルで変わっていくので、例えば、ずっと作っている味噌汁でも一か月の中で微妙に味が変わっているというのだ。ずっと同じだと思っている「おふくろの味」が一か月の中で微妙に味が変わっている。だから「おふくろの味」、つまり母や奥さんが作っている料理に男性は飽きないのだと。すげーな! 女性の体はやっぱりすげーー!
で、そうやって体温が変わっていくから、妊活している人達は、毎日、体温測って、排卵期の後の体温が高い時期から期待を寄せる。妊娠した場合は、そのまま体温が下がらず、高い状態になるので、生理の時期になり、「体温よ、下がらないでくれ」とワクワク。
だけど、妻と僕もそうだったけど、体温計を見て「下がっちゃった」と言うと、それはもう生理が来るという予告。つまり、妊娠はしなかったということ。
基礎体温のグラフを付けてると、生理が来ると、下りのエスカレーターを下がるようなグラフになる。だからね、これもまた、妊活している人は、毎月、毎月、期待という上りのエスカレーターから、一気に残念エスカレーターに乗り換えさせられるんですよね。
妊活の期間が長ければ長いほど、その下りのエスカレーターの勾配はキツくなっていくんだと思う。
妻が妊活休業を発表した時には、僕のツイッターやブログなどに賛成の意見だけではなく、厳しい意見も届いた。それは「そうやって世の中に大きな声で言っちゃって、子供が出来なかったらどうするの?」と。もちろん妻と話した。その時に妻と「子供が出来なかった時、諦めなきゃいけなかった時は、そのことも発表して、そういう人生の歩み方も見せて行こう」という話になった。
とはいえ、妊活に入ってから、タイミング法を二回やっただけで、期待するし、残念にもなる。だからこそ、夫である僕が「もし子供が出来なかったら」という選択肢は常に考えていかなければいけないわけで、生理が一日遅れただけでそわそわしちゃう僕はどうなんだろう? と反省したり。基礎体温の下がるグラフを見て、ガッカリする気持ちを出してしまったり。僕よりも残念なのは明らかに妻であって、そういう時に妻に対して、どういう言葉をかけてあげるかを考えるのが夫なんじゃないかと考えたり。常に旦那さんがちょっと客観的な立場でいないと、僕らみたいに子供を授かりたいと思っている夫婦が、子供を授からない生活になると決める時に、毎日ネガティブに生きて行かなきゃいけなくなる気がする。だから旦那さんの「距離感」って大切だなとあらためて考える。
そして僕らは、タイミング法を二回行い、次のステップ人工授精に進むことになる。