マガジンワールド

「ブス恋♥子供心とワクワク。」 Vol.170

鈴木おさむエッセイ ブスの瞳に恋してる♥ 第170回「子供心とワクワク。」

 
hn1146-busu
[ヤマザキマリの場合]
やまざき・まり/漫画家。イタリア在住。『テルマエ・ロマエ』は世界8カ国で翻訳。


子供は成長過程で色々なことを覚えていく。よゐこの有野さんが言っていたが「子供って、自分で死ぬことばっかりやるやん」と。まさにその通り。小さい頃は高いソファーから飛び降りてみたり、壁にぶつかってみたり、大人がやったら自殺行為と思われる行為をやって、痛いこと、やってはいけないことを覚えていく。

最初は食べられるものと食べられないものもわからないから何でも口に入れて確かめていたが、2歳3か月を超えた笑福は、確かめなくとも、自分の中でおいしいものかどうかが分かってきた。

毎日ものすごいスピードでいろんなことを覚えていく中で、大抵何をされても驚くことはない。なぜなら子供だから仕方ないし、まさかのことをするのが子供だから。

僕が子供の時、正月に親戚のみんなと集まった時があった。そこで親戚のお兄さんが、食事で出たお肉を鼻の穴に詰めてしまい、それが取れなくなり、大騒ぎになったことがあった。なぜ鼻の穴に詰めたのかと聞かれたら興味本位だろう。小学生になったとは言っても、急に「これ鼻に詰めたらどうなるのかな?」と好奇心が勝って、やってしまったのだろう。小学生だからとは言え子供だから仕方ない。子供はまさかの行動をする。

で、笑福の話をする前に、妻の仕事の話をしたい。妻は半年に一回行われるTBSの「オールスター大感謝祭」に出場する。そこで、ヌルヌルのオイルを全身にかぶり、ライバル鈴木奈々に負けるかと、全力で走っては落ち、泣いて叫んで、また転んで、ヌルヌルだらけになっている。僕が好きな妻の仕事のひとつだ。

気づくと、笑福も妻のテレビ番組を見るようになった。妻の職業がだいぶ分かってきたようだ。ヌルヌルオイルをかぶって戦う姿をジーッと見つめ、それが自分の母親の仕事だと認識しているようだ。

妻の姿は笑福にはどう映っているのか? もしかして、もうちょっと年を重ねた時に、そういう母親の姿を恥ずかしいと思う時も来るかもしれない。

で、その「感謝祭」が放送された数日後。妻がキッチンで料理を作っていたらしい。僕は仕事で外に。妻はネットでゆで卵を早く作る技を見つけて、実際にやっていた。ちなみに、妻がこの記事をネットで見つけた日に、たまたま僕もその同じ記事を読んでいた。沢山あるネット記事の中から、妻と同じゆで卵の作り方を見ていたなんて、なんだか嬉しくなった。

と、ノロケの寄り道をしたが。妻が試したそのゆで卵、何個か作ったが、半熟にもなってない。ほぼ生卵状態にしかなってなかった。何が悪かったのかわからないが、妻は殻を割って、まだ液体状態の卵を器に入れて置いておいたらしい。そして、もう一度チャレンジしようと作業をしていたら。

置いてあった器がない。卵の入っていた器がない。どこに行ったんだと、リビングの方を見ると、卵の入った器を笑福が持っている。しかも持っているだけではない。なんと、その液体の卵を手で掬って、自分の頭に塗っていたのだ。ベッタリと。一回だけではない。何回も何回も。

驚く妻は一枚だけ衝撃の行動を映像におさめる。そして止める。「笑福、卵頭に塗ってなにやってるのー!」

なんでこんな行動をしたのか? 笑福の頭は卵でヌルヌル。ヌルヌル? そう。笑福はおそらく妻のヌルヌル姿を見て、自分もやってみよう!と近くのヌルヌルの液体こと卵を頭に塗っていたのだ。塗りながら一人で笑っていた笑福。

そうです。テレビの画面の奥でヌルヌルオイルを塗る母親の姿は、笑福にとっては憧れの姿に映っていたのだ(と思う)。だから母親のように頭をヌルヌルにしたのだ(と思う)。

僕は妻からその話を聞き、なんだかすごく嬉しく思った。

子供の行動は親の想像をまだまだ超えてくる。

そんなことがあった数日後。とんでもないお酒好きの酒乱の男性と飲み会で一緒になった。30代後半。普段はかなり仕事が出来るのだが、酒が入ると豹変する。

ある時は酔って、お店のシャンデリアに飛びついて、40万円分弁償することになったりした。

そんな彼が、その日お酒を飲んで絶好調だった。途中でみんなの驚きの声がする。そして「やめろーー」と叫んでいる。

なんと彼は酔って立ち上がり、醤油の入れ物を頭の上に掲げて、頭に醤油をかけまくっているのだ。そして醤油だらけの頭をシャンプーでもするかのように両手でこすりまくっている。醤油をシャンプーがわりにした人は初めて見たし、あまりにバカバカしく笑ってしまった。

そんな彼の姿が、数日前に卵を頭に塗った笑福と被ってしまった。僕は、醤油シャンプーの彼のことが好きだ。なんだかワクワクするのだ。ということは、大人になっても子供のような気持ちを持っている大人に魅かれているのではないか? 僕もまだまだ子供心を持つ大人になりたい。笑福に負けてられないぞ!


【今回の気づき】

子供心は大人をワクワクさせるのだ



鈴木おさむ
すずき・おさむ/放送作家。妻・大島美幸(森三中)との子育てもまる3年。長らくご愛読ありがとうございました。連載をまとめた『ママにはなれないパパ』が、絶賛発売中です!


Hanako No. 1146

300人に聞いた! いま絶対に行きたい店

662円 — 2017.11.16
試し読み購入定期購読 (18%OFF)
Hanako No. 1146 —『300人に聞いた! いま絶対に行きたい店』

紙版

定期購読/バックナンバー

読み放題※ 記事の一部が掲載されない場合もあります。
  • buy-dmagazine
  • buy-rakuten-2024

詳しい購入方法は、各書店のサイトにてご確認ください。書店によって、この本を扱っていない場合があります。ご了承ください。