マガジンワールド

「何が正しい?」 Vol.171

鈴木おさむエッセイ ブスの瞳に恋してる♥ 第171回「何が正しい?」

 
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[ヤマザキマリの場合]
やまざき・まり/漫画家。イタリア在住。『テルマエ・ロマエ』は世界8カ国で翻訳。


先日、公園に行きました。僕と妻と息子・笑福。そしてお隣のお友達M君とお母さん。

公園に行くと、笑福は落ちているどんぐりに興味津々。どんぐりを沢山拾っては、持っていたおもちゃのトラックの荷台に乗せたりして。子供の行動を見ていると、自分も子供のころに、こういう無意味な行動、やったよなーと思いだす。子供の行動と大人の行動で一番違うのは意味を求めるかどうかではないかと思う。大人は一個ずつの行動に意味を求める。お金をもらえるか? モテるか? などなど。だけど子供は無意味なことに突き進む。いつから俺は無意味なことをしなくなったのか? なんて考えたりもします。

最近、笑福はシャボン玉が大好きで、銃の形をしたシャボン玉を作る機械が特にお気に入り。

シャボン銃と呼ばせていただこう。シャボン玉を作る液体にそのシャボン銃を浸して、スイッチを押すと、シャボン銃の先端についた扇風機のような機械が回転しシャボン玉を一気に何個も作り出す。

もう、これを見た時の笑福のテンション、ヤバメです。フェスに行ってテンション上がりまくりの女子以上。空に浮かんでいくシャボン玉に自らタックルしていく。

しばらくそれで遊んでいると飽きてきます。笑福は再びどんぐり拾いに。すると、友達のM君が、置いてあったシャボン銃を手に取り遊び出しました。

M君とM君のお母さんがそれで遊んでいると、笑福が近づいていき、M君が遊んでいるシャボン銃に手をかけました。「俺のだ」と言わんばかりに。それを楽しんでいるのはM君ですから、M君も「今、遊んでいるのは俺だ」とばかりに、自分の方に引っ張ります。すると笑福はさらなる力でそのシャボン銃を取ろうとするので、さすがに妻が止めに入り、笑福に注意。「笑福、ダメでしょ! M君が遊んでいるんだから」と。

笑福は号泣。大粒の涙を流しまくりました。笑福は自分の取った行動を正義だと思っているのでしょう。なのに、自分の大好きな母親が味方になってくれなかった。それどころか注意された。だから泣き出した。

こういう時。どうやって注意したらいいのかなと考える。もっと強くしかる人もいるだろうし。

優しく注意する人もいるだろうし。

だけど、人が楽しんでいる物を力ずくで取ってはいけません。それが自分の物であろうが、「俺の物は俺の物」と強く思うと、「お前の物も俺の物」とジャイアン的精神が芽生えてしまうのではないか? と心配になってしまう。

だからこそ、ちゃんと注意しなきゃいけないし、だけど、しかり方によってはただお母さんが怒っていると思ってしまうのではないか? と。

そこでこのことをブログに書いてみると、沢山のコメントが届き。とても多かったのが、まず子供に共感してあげることが大事だと。なぜ、そのような行動を取ったのか? なぜ、それをしたのか? 子供の目線で一度共感してあげる。「M君が遊んでたから、それで遊びたくなっちゃったんだよねー」と共感する。そこから「だけどね」と、何がいけなかったのかを注意するのが大事だと。

確かに。大人の僕らでもそうだ。たとえば、番組の会議で企画を出した時に「それ、おもしろくないな」とただ否定されるよりも、「わかる。この企画わかるよ。だけどさ」と言ってくれる人の方が、なんか次の企画を出そうとやる気になる。自分に共感してくれてるもんな。その子供の目線に立って考えることが大事なんだなと。シャボン銃に気づかされる。

今はまだ小さいからいいが。高校生とかになって、人の物を欲しがったらどうしようと思ってしまった。僕は高校生の時に親友Y君が大好きだった女の子のことを途中から好きになってしまい。Y君を裏切り、自分が先に告白し、付き合ってしまったのだ。僕が付き合い始めた時に、Y君は激怒し、その関係は壊れてしまった。その気まずさは大人になった今も続く(と僕は思っている)。
もし笑福が高校生になって、「友達が好きな子を好きになっちゃったんだけど」と相談されたら自分はどう答えるのか? と考えてみる。これを読んでいる皆さんだったら自分の子供にどう答えますか?

僕が笑福に言うであろう答え。それは「本当に好きなのか? 本気で好きなのか? 人を好きになることは素敵なことだけど、好きになって、失くすものもある。大切なものをいくつも失っても、その子が好きってだけで幸せだって言い切れるなら、自分の思うように行動すればいい。だけど、失いたくないなら、その気持ちをずっと自分の中にしまっておけばいい」と言うかなと。今はそう思う。本当に言うと思う。

子供と一緒にいると、自分がここまで歩んできた人生で起きたことを思い返し、それが正しかったかどうかを考える。子供を育てながら自分の人生を復習したりする。おもしろいな。


【今回の気づき】

子供を育てることは、自分の人生を復習することでもある



鈴木おさむ
すずき・おさむ/放送作家。妻・大島美幸(森三中)の 出産までをつづった『妊活ダイアリー From ブス恋』「ブス恋シリーズ1~4」が人気。初監督作(脚本も担当)となる映画『ラブ×ドック』は2018年全国ロードショー。


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