マガジンワールド

「ブス恋♥男は叱られる生き物。」 Vol.174

鈴木おさむエッセイ ブスの瞳に恋してる♥ 第174回「男は叱られる生き物。」

 
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[ヤマザキマリの場合]
やまざき・まり/漫画家。イタリア在住。『テルマエ・ロマエ』は世界8カ国で翻訳。


家で妻に怒られる一番の理由は、部屋の汚さ。特に僕の仕事部屋。僕の綺麗の合格点と妻の合格点が違います。まるで僕のことをゴミ人間かのように叱るときもあり、あまりに怒られていると、45歳で怒られている自分が情けなくなり、そんな自分を俯瞰で見て笑ってしまうときがあります。

いつまでこんな感じで怒られるのか? あと10年くらいで怒られなくなるのかなんて思っていたら。

先日、お世話になっているご夫婦がいて、その夫婦が結婚して40周年を迎えたんです。旦那さん、とてもお仕事が出来る方で、僕を含め、尊敬している方も多数。

なのに、奥さんに家では怒られることも多いらしい。

奥さんに最近、何で怒ったか? と聞いたら、旦那さんが、パジャマの上と下を違う物を着ていたことに腹が立ったとか。

「上と下、違うパジャマで気持ち悪くないわけ?」と。そして、「冷蔵庫開けて、○○取ってきて」とお願いしたら、「なかったよ」と。冷蔵庫開けて一番前にあるのに、見つけられず、奥さんは「あなたは冷蔵庫の中で物が手を振ってくれないと見つけられないわけ?」と怒ったのだとか。

どんなに立派な人でも奥さんの前ではただの「人」なんですねぇ。

で、息子、笑福も、妻に叱られる回数が多くなってきました。

先日は、人から貰った大事なおもちゃの部品を、ベッドの後ろ側に落としてしまいました。それを拾うにはベッドごと動かさないといけない。

笑福は好奇心で落としてしまったのだと思いますが、妻はそれをとても厳しく叱りました。そこに落としたことも叱りましたが、一番は人から貰ったものを落として、使えなくしてしまったこと。かなり厳しく注意します。

叱られているときの笑福は、泣かずに、何度か僕を見ます。そして、僕を見てニヤリと笑います。

助けを求めているのでしょうか? でも、このときに優しい顔をすると僕まで怒られてしまうので、笑福の可愛い顔で見つめられても無表情。助け船は出しません。

なんでしょう。

笑福が男だからというのもあるのか、妻に怒られている姿になんだか共感してしまう。

そんな中、僕と笑福が同時に怒られることがありました。

妻は笑福にチョコを食べさせません。4歳になるまでチョコは食べさせないと決めているのです。虫歯の対策が一番のようですが。

半年ほど前、笑福とドン・キホーテに行ったときに、笑福にチョコのお菓子を買ってあげました。嬉しそうに食べる笑福。

家に帰ると、笑福の口元についてたチョコを見つけ、妻が僕に厳しく怒ります。

「4歳になるまでチョコはダメだからね」と。

僕だけでなく笑福にも注意。

そして先日。妻が仕事でいないときに、僕は笑福とスーパーに行きました。食材を買っていると、笑福がお菓子コーナーで足を止めて、人気のチョコのお菓子を手に取りました。

僕の目を見て、ニコっと笑います。僕は笑福に言いました。

「ママにチョコダメって言われたでしょ? ダメだよ」とチョコを取り、売場に戻します。

すると笑福、もう一度チョコを取り、僕の籠に入れて満面の笑みで「これ、ほしい」と言うのです。

もう、その笑顔。中学2年のときに好きだった女の子の笑顔を越えました。そんな笑顔見せられたら、もう、買うしかねえなと。

僕が「よし、買おう」と言うと、笑福は飛び跳ねて喜びます。こんなにも喜んでくれるなら、買って良かったと思いました。

家に帰って、むさぼるようにチョコを食べる笑福。僕は笑福に言いました。「ママに言っちゃダメだぞ」と。

一週間後。僕が家に帰ると、妻が超怒っています。そして言いました。「笑福にチョコ買ったでしょう」と。え? なんでバレたの?

笑福と一緒にスーパーに行ったら、今まで手に取らなかったチョコを手に取り、「ほしい」と言ったそうです。妻が「??」と思い、「とうとに買って貰ったの?」と聞くと、「うん」。

早―い。

怒っている妻の横に立っている笑福。僕を見て、申し訳なさそうな顔をしている。そこで僕に激怒する妻。

「言ったでしょ? 4歳まであげないって」と。怒っているうちにどんどん温度が上がってくる。

僕が笑福を見る。助けを求めるかのように。すると笑福は見て見ぬフリ。

お叱りはそこでは終わらなかった。妻のママ友達に、このことを報告すると、今度はママ友達から「最低―」の声。いや、チョコ一つでこんなに怒られるかと。

僕を怒っているときに時折、チョコを食べた笑福への注意も挟む。

45歳のおじさんと2歳半の笑福。なんだか、一緒に怒られていることで、友情に近いものも芽生えたりした。笑福にいつか言いたい。

「男って女に怒られ続ける生き物なんだぞ」


【今回の気づき】

子供が母親に怒られると、子供と父親との間に友情が芽生える



鈴木おさむ
すずき・おさむ/放送作家。妻・大島美幸(森三中)との子育てもまる3年。長らくご愛読ありがとうございました。連載をまとめた『ママにはなれないパパ』が、絶賛発売中です!


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