マガジンワールド

第84回「妻が妊活に専念することになりました」

ブスの瞳に恋してる
 
イラスト/ヤマザキマリ
イラスト/ヤマザキマリ
 
第84回「妻が妊活に専念することになりました」

2014年1月30日、妻がマスコミに向けてあることを発表しました。以下、その言葉です。

「私、森三中・大島美幸は一旦芸人としての活動を休業し、妊活に専念させていただきたいと思っております。
 
2年くらい前から、このことを考えていて、昨年2013年になってすぐ、まず森三中とマネージャーに話しました。旦那には2年前くらいに、休業を提案しました。旦那はすぐ賛成してくれました。
 
このような決断をしたのは、やはり流産をしたというのが理由です。妊娠すれば出産できると思っていました。流産して、すべてそうではないことに気付きました。体と心を整え、赤ちゃんにちゃんと居心地の良い場所を提供する。それを怠っていたのかもしれません。
 
仕事柄、体を張る仕事も多く、年齢的にも限りがあるので、妊活の為に休業をするという決断は早めのほうが良いと思いました。
 
まずは、夫婦で様々な検査を受けるところから始めてみようと思います。そこからは先生のご指導をいただき、いつか赤ちゃんを授かることを願い、頑張ってみようと思っています。お休みさせていただくまでは、後悔のないよう全力で体張らせていただきます!! よろしくお願いいたします」
 
妻は高校を卒業してから15年以上、芸人として頑張ってきました。そして2002年に結婚してから夫婦生活12年。
 
それは家にいた時だったろうか。妻が突然言ってきたんです。「あと2年くらいしたら、妊活のために休業したい。それまでは全力で芸人をやりたい」と。それを決めて働いている中で、24時間テレビのマラソンの仕事、そして坊主にして男役に挑んだ『福福荘の福ちゃん』という映画の話がきたり、妻は、「なんかこういうのもタイミングだね」と決めてマラソンも走り、坊主にして福ちゃん役を全力で演じました。
 
妊活をするために休業したいと言った時、妻らしいなと思いました。僕が妻に一番最初に惚れた瞬間。それは深夜番組で、妻がサウナに裸でおっさんとして入って来た瞬間でした。とんでもない女芸人が出てきたなと思いました。今まで女性芸人が崩すことの出来なかった壁。裸になって笑いを取る。しびれました。すごく会いたくなりました。森三中・大島という芸人に。
 
だから初めて会った時に、勢いとか色んなものがあったんですけど、結婚しようと言ったのは、本能だったのかもしれません。魂が叫んでいたのかもしれません。
 
僕は、芸人さんが大好きです。芸で見せる芸人さんもいますが、生きざまも見せていく芸人さんもいます。最後にボロボロになった姿まで見せて死んでいく芸人さんもいる。僕は生きざまで見せる芸人さんが凄く好きです。妻にも、そういう芸人さんになって欲しいと思っていました。
 
一度、流産してしまった時に、もう芸人には戻ることはないかもしれないと思った。だけど、妻はそのことを自ら筆を取りエッセイに書いた。ポジティブな文章で書いた。あのことがあってから妻はさらに体を張って笑わせた。出川哲朗&ダチョウ倶楽部を崇拝し、笑いを取りに行った。その行動はまさに生きざまで見せる芸人。
 
そして今回は妊活宣言。芸人として生きてきた彼女が、母親になりたいと世間に宣言した。これには大きなリスクが伴う。だって、絶対に赤ちゃんが出来るという保証はないからだ。だけど、妻は世間に妊活するために休むと宣言した。以前、赤ちゃんを授かった時に、急きょ仕事を何本もバラしたりしたので、妻は次にもし赤ちゃんを授かることが出来たら、仕事の人達には迷惑をかけたくないと思っていた。だから妊活休業宣言をした。
 
そして、妻が世の中に宣言することで、同じような気持ちでモヤモヤしてたりする人の背中をちょっとだけ押すことが出来たりしたらいいなと僕は勝手に思っている。
 
芸人から母になることを望み、休業し、これを経てどうなるか分からないが、全てを含めて妻は生きざまで見せている芸人だなと思う。そんな妻の姿に改めて惚れている。
 
会見の時に妻が言った。「おさむジュニアを見たい」と。「おさむ&美幸ジュニア」ではなく、「おさむジュニア」と言ってくれた。そうか、そうなんだよな。僕のジュニアなんだ。妻は僕のジュニアを産む為に、芸人を一時休業する。妻よ。結果、どうなるか分からないけど、僕らなりの夫婦のやり方で、世間にその生きざまをお伝えしながら、生きていこうじゃないか!
 
妻よ、本当にありがとう。休業するまで全力で体を張りまくってくれ。大好きだよ。


今回の格言
女の男らしさに男は惚れる
ワイドショーでも取り上げられた大島美幸さんの「妊活」宣言。24時間マラソンも映画出演も、そのための全力疾走だったんですね。いや、じつに男らしい! そんな「女の男らしさ」が感じられる話は単行本『ブスの瞳に恋してる』シリーズ(1~4)にも!