第115回「お迎え棒っていったい!?」
第115回「お迎え棒っていったい!?」
出産予定日が近づいたあたりから、いろんな方が「こうすると陣痛がくる」というジンクスを教えてくれました。二大ジンクスは「焼き肉を食べる」と「オロナミンC」を飲むのようだ。いろんな方に言われました。二つとも実行したが、予定日前の陣痛はなく。
そして迎えた予定日当日、6月12日。僕は東京FMで毎週金曜日「よんぱち」という3時間半の生番組のパーソナリティーをしております。スタッフが、「もし放送直前に陣痛が来たら、番組こなくてもいいんで」と言ってくれました。いいの? メインパーソナリティーなのに来なくていいの? 心が広すぎるだろ! もしもの僕が来ない時のことも考えて、お喋りの出来る芸人さんをゲストに用意しておいたとのこと。しかし、放送中に妻からの陣痛テレホンはなく。
6月一週目から妻のお母さんが栃木の実家から我が家に来てくれることになって、それでかなり安心。とはいえ、やはり予定日を越えてからは僕も常にスタンバイ状態じゃなきゃいけないと思って、予定日の金曜日から土曜日、日曜日はラジオ以外の仕事は、ほぼ外していたんです。家にいると心配ばかりが先にたって、産まれてもないのに、なんだかグッタリしてしまってね。旦那が勝手に気合い入れてスタンバイして疲れてピリピリしてどうすんだ! って思って。そこで妻と話して、「もし今日陣痛が来たら」とシミュレーションは常にするけど、気張りすぎない! ようにするため、友達とお酒を飲みに行ったりもするようにして、「日常」を過ごすようにして待つことにしたんです。
ずっと近くにいることがいいだろうと思っていたけど、自分が緊張すると、それを見て妻も不安になっちゃうのかなと。こういう時の距離感もすごく大事だなと。もちろん、妻のお母さんがいるからそういう余裕も含めて考えられるんだけど。
予定日を越えると、今度は周りがそわそわし始めるんですね。これ、あるあるみたいです。励ましのメールが来たりね。そんな中、妻の大先輩でもある野沢直子さんが、アメリカから僕宛にメールをくれました。野沢さんの出産中に、旦那さんがいきみすぎて屁をこいて、出産中に思わずつっこんだ! とかね、野沢さんらしくくだらない話で希望をくれる。
野沢さんも予定日を越えての出産の経験があり、ニューヨークの病院では「予定日を一週間越えて陣痛がこなかったらセックスしてください」と言われたとか。野沢さんは予定日5日越えて出産したので、試すにはいたらなかったですが、メールの最後には「もし良かったらお試しあれ」とアメリカからの素敵な締め。
そのことをブログに書いたらですね、臨月とか、予定日を越えてのセックスのことを、「ある言い方」をするのだという方が結構いまして。ネットで調べたら出てくるんですね。その言い方。それはなんと「お迎え棒」。すごいネーミングじゃないっすか? 「棒」と付いてるもので、ナイスネーミングだなと思ったのは「うまい棒」以来です。「お迎え棒」とネットで調べるとかなりヒットするんです。臨月のセックスのこととかね。あ、すいません、臨月のお迎え棒に関して。
臨月のお迎え棒に関しては、これまた色んな意見があるみたいですね。感染症のおそれもあるから、コンドームをしてしましょう! という意見なんかもあったり。
それにしても、「お迎え棒」という神々しいネーミング。いや~~、妊娠や出産に対してまだまだ知らないことあるんだなと思うが、さすがに、「お迎え棒」をするのは怖くて実行出来ませんでした。
せっかく妻の中で居心地よくてちょっとゆっくりしてるのに、僕がお迎え棒したら、お腹の子供からしたら、立ち退きを迫る地上げ屋みたいに思われるんじゃないかってね。
自然に陣痛が来るのを待とうと決めて、出てくるタイミングは赤ちゃんが決めているともいうので、とにかく待とうと。
予定日を超えて、日が経つごとに妻も不安がぬぐわれて、力強くなっていく。僕もそわそわが薄れていく。なんか、気持ちに根が張っていくという感じか。
それと同時に僕の中では、ある思いがより強くなっていく。妻が元気に元気な赤ちゃんを産んでほしいという気持ちは一番だが。
なんかね、自分が一番楽しみにしている瞬間は「産まれてきた子供を妻が抱きしめている姿」。産まれてきた子供を見て、抱いている妻の表情。笑っているのか?泣いているのか? わからないけど。その顔が見たい。もちろん僕だって産まれてきた子供を抱きしめたい、早く見たい、会いたい。
だけどそれ以上に、我が子と出会う妻の顔を見たいんだ。と強烈に思うようになった。
早く会わせてあげたい。僕が産むわけじゃないんだけど。
お迎え棒なしで、早く出てきてほしい。
そして予定日を一週間以上超えました。