第116回「予定日ついに1週間超え!」
第116回「予定日ついに1週間超え!」
2015年6月12日出産予定日。予定日通りに産まれる人はそんなに多いもんじゃないと思いつつも、やはり予定日二日前からのそわそわ感は半端じゃありません。妻も予定日一週間前くらいから、期待と不安で言うと、不安の方のふくらみが加速したようでした。
予定日は僕がパーソナリティーをやっている東京FMの「よんぱち」というラジオの生放送がありまして。しかも3時間半。ラジオスタッフは心が広すぎて、「もし放送中に陣痛が来たらすぐに放送抜けてもらっていいですから。そっちの方が大事ですから」と。いや、放送も大事だろ! と思うが、もしもの時に備えて、その日のゲストは喋りの得意な芸人さんをズラリと揃えてくれていた。いやー、ありがたい。
が、その世話になることなく、放送は終了。その日の朝、病院で健診を受けていたのですが、「まだ下がってきてないな」と言ってたので、「今日は来ないんだな」と思いつつも、その日はずっと勝手に緊張していた。
予定日は金曜日、この週末の土日。「もしかしたら突然来るかも」と緊急スタンバイに備えて、結構家にいまして。家で出来る仕事とかしていたものの、奥さんのお腹を「まだ下がってきてないかな」とさりげなくチェック。
妻は予定日までは不安が大きかったようですが、予定日を過ぎてからは、日に日に大きな体のように構える気持ちも大きくなっていったようです。「もうここまで来たらいつでも来い」と。予定日の検診ではお腹の中の赤ちゃんは3000グラム前半。だけど僕は心の中で思っていたのです。僕は産まれた時に4050グラム。妻は3950グラム。親の産まれた時の体重に近づいて産まれる! なんて噂も聞いたことあって、かなり大きく育ってから産まれて出てくんじゃないかと。
予定日を過ぎて4日目に突入。土日の二日間、勝手に緊張しすぎて疲れてしまい、なんだか自作自演でピリピリしてしまった。だけどね、一番不安なのは妻であって、なのに旦那が勝手にそわそわしてドキドキして緊張してその末にイライラしてたら、足を引っ張るな! と思い、まずはその状況でリラックスして生活できるように、自分自身があまり力を入れ過ぎず友達と飲みに行ったりするようにしました。旦那さんは出産予定日の近くになったら、「俺がいるから大丈夫だ」と構えて守ってあげなきゃいけないんだけど、でも、男の方がビクビクして心配しちゃうもんなんでしょうか。
予定日を過ぎて5日目。妻と鍼に行く。お腹の中の赤ちゃんが下がってきてる感覚が全くないと言ってた妻だったが、この鍼が終わったあと、急に下がってきた感を訴える。「おまたあたりが痛くなってきた」と。歩くのもしんどい。だけど、歩くのがしんどいからこそ、歩いて赤ちゃんを下げてあげなきゃダメだといろんな人にアドバイスをいただき、歩く。
なるべく時間を見つけて、妻と一緒に歩くようにした。今考えてみると、予定日を過ぎてお腹が大きくなりまくってる中で二人で街中を何度か散歩できたのは、お腹の子からのプレゼントだったのかなと思ったりもする。
予定日を過ぎて一週間。さすがに一週間すぎてまわりがざわざわし始める。メールも結構届く。そのメールは「私も一週間遅れたよ」とか「二週間遅れました」とか書かれているんだけど、なんだか励ましに見えたりして、僕の中で再び焦りが出始める。
妻が通っている病院はなるべく自然分娩で産む! という考えなのですが、予定日から一週間過ぎて病院に行った日に、「二週間経って産まれなかったら帝王切開という選択肢も入ってくる」ということを言われる。なんとか自然分娩で産ませてあげたい。病院の先生もそう思ってくれているし、僕もそう願っている。
予定日を過ぎたあたりから病院に行き、妻は弱めの誘発剤的な薬? が入った点滴を5時間くらいかけて打つようになった。これを打ってる間は明らかに子宮が収縮してる感じがわかるらしい。が、点滴が終わり家に帰ると、普通に戻る。明らかにお腹のふくらみは大きくなるが、病院のエコーでは3000グラム前半という予測。
家に帰って、妻のお母さんが「そろそろ産まれてきてくんないかね〜」と明るく言ってくれる言葉に救われる。なんか夫がそれを言うと、奥さんが焦ってしまうんじゃないかと思って。
正直予定日過ぎてからしばらくは、妻がお腹を触りながら「自分のタイミングで産まれてくればいいんだよ」と言ってたので、僕もお腹に向かって「焦らなくていいから」と言っていた。
しかし! 予定日一週間を過ぎて僕は対応を変えた。逆子の時に話しかけが効くと言われて実行し、効いた気がした。予定日を過ぎた時もお腹に夫がお腹に話しかけたらそのあと5分後に陣痛が来たと教えてくれた人もいたので、実行することにした。
妻を寝かせて股を開かせる(もちろん服は着ているが)。その股に直接僕は口をつけて大きな声で叫んだ。名前で呼んだ。「笑福ーー! そろそろ出てきてくれーー! そうじゃないと帝王切開になっちゃうよー! だからそろそろ出てきてくれー! 頼む」。お母さんが横にいた。お母さんは娘の股に顔をつけて叫んでいる男性をどう思ったかわからないが、笑ってくれてたから助かった。
その叫びが届いたのかわからないが。いや、届いたのだろう。お腹の子供は動き出した。