ブスの瞳に恋してる♥ 第127回「タイ焼きから学んだこと」
赤ちゃんがより心地よく、そしてお母さんが動きやすいスリングの使い方を教えてくれるスリング講座なるものがあるということで妻に誘われ、夫婦で行って参りました。日曜日。
畳の部屋の中には10組ほどの参加者が。先生は女性で、元看護師、様々な被災地にも行き、色んな現場を体験してきた方。
正直、スリング講座に行こうと言われたときには、まったく乗り気にならず。でも、妻の強い希望により、いやいや行ったわけです。だってね、全部で5時間あるんですよ。
が、しかし、結果、5時間でも足りない。そして、ここで教わったスリングをマスターすれば、例えば僕が今、こうやって原稿を書きながらでも、息子は僕の胸のスリングの中にすっぽりとおさまり、嫌な顔一つせず笑顔でしょう。
ここで教わったスリングは、そこにいたママとパパが全員目から鱗のテクニック。ただ、完璧にマスターするには結構練習も必要。
スリングはもうちょい時間かかりますが、スリングの前にその講座の最初の二時間は、抱っこ講座だったのです。「まぁるい抱っこ」なるものを覚える。
まず、最初に、パパとママが普段、どんな風に抱っこしてるかを各自スマホで撮影。自分で確認。みんな、写真を見ながらどんな抱っこをしているのか先生に報告するのですが、僕も含めて自分の抱き方にしか注目してない。先生は怒ります。「なんで誰も赤ちゃんの表情が気にならないの?」と。ぶっちゃけ、日曜日にあまり乗り気じゃないのに行って、いきなり抱っこをダメ出しされて、イラっとする思いもありました。ここまでは。
ただ、そのあとに、先生が一人一人赤ちゃんを抱っこすると、全員笑顔。そして冷たかった足がみるみる温かくピンク色になる。そして寝落ちする。魔法をかけているようでした。
そこから教わります。「まぁるい抱っこ」なるものを。簡単に言うならば、両手が円のようになっていて、そこに赤ちゃんがお尻だけ縦にすっぽり入る感じ。そして赤ちゃんはM字開脚。懐かしのインリン的感じ。この「まぁるい抱っこ」を赤ちゃんが前を向くパターンと、後ろ向くパターン、両方教わるわけですが、僕がそれをマスターした瞬間、息子、笑福の体への密着度が違うのです。
息子は生後五か月を過ぎ、7キロを超え、結構大きくなってきていた。そのため、前だったら自分の抱っこでもスヤスヤ寝ていたのに最近は寝つきが悪く、それで悩んでいたのです。
でも、このまぁるい抱っこをすると、赤ちゃんの体の密着度が増え、足も温かくなり、とにかく顔が気持ち良さそうなんです。そこまで来て思いましたよ。「先生、さっきはイラっとしてごめん」と。
そこには色んなママとパパが来ていました。あるお母さんは、夫と姑さんが子供を抱くときは泣かないのに自分が抱くと泣いてしまうと、かなり切実な訴え。確かに、そのお母さんが抱いているとわめくように泣いていた。でも、どうでしょう。まぁるい抱っこを教わり、精神論を教わり、二時間たったころには、子供も笑顔。悩んでいたお母さんも笑顔。すげー! まぁるい抱っこすげー! こんな抱っこ一つで、ここまで変わる。母親として自信もつく。二時間の間に、そこに参加していたママとパパが確実に成長したのです。
いや、行ってよかったと心から思いました。ちなみに場所は調布。帰るころは夕方。妻が帰りがけに、どうしてもテレビで見てうまそうだったタイ焼きがあるという。なので、そこに寄ってタイ焼きを買いました。全部で5個。一個は僕。もう一個は妻が食べて、家に持って帰り、一個は知人にあげました。夕食前に妻がもう一個食べたいと言ったので、妻、二つ目。
夕食後、妻が3つ目のタイ焼きを食べたいと言ったので、さすがにダメだとストップをかけました。まずいでしょ、数時間のうちにタイ焼き3つは。しかも御飯も食べてるんですよ。
その夜。妻と子供が寝てから仕事してた僕は夜中に腹が減ったので、一個余ったタイ焼きを食べました。朝になると固くなっちゃうなと。
翌朝、起きてきた妻が僕に深刻な顔で言った。「あれ? タイ焼きは?」。僕が「あ、固くなるから食べちゃったよ」と言うと、妻の顔から笑みがどんどん消えていき、とてつもなく厳しい顔で「え? 楽しみにしてたのに」と冷たく言い放たれました。そんな厳しく言う? 冷たく言う? タイ焼き一個じゃん。っていうか二つ食ってるじゃん。しかも朝食べたら固くなっちゃうでしょ? でも、妻いわく、その固く冷たくなったタイ焼きにも別のうまさがあると言う。いや、知らねーーーー。そこまでタイ焼きに詳しくないし。
で、こんなタイ焼き事件をブログに書いたら、女性が数百人コメントしてきて、「女性を食べ物のことで怒らせたらダメですよ!」とまた僕が怒られる。厳しい注意を受けました。
その数日後。僕が楽しみに買ってきたクリームパン。翌日、妻によって食べられてしまうこととなりました。妻の食べ物は妻の物。僕の食べ物は妻の物。
女性の食べ物への固執とまぁるい抱っこを覚えたある週末。
ちなみに、この覚えた「まぁるい抱っこ」が、このあと、大活躍することとなる。