「ブス恋♥二人目問題。」 Vol.172
鈴木おさむエッセイ ブスの瞳に恋してる♥ 第172回「二人目問題。」
先日、妻が自分の足の臭いを嗅ぎながら僕に「ねえ、足の臭い嗅いでくんない?」と言ってきました。人の足の臭いを嗅ぐのが好きな人なんていないと思いますが、僕もご多分に漏れず嫌いです。妻であろうとも。「えー? いやだよー」と言いました。
すると妻は「お願い。お願い。スリッパが臭いからさ、自分の足の臭いが多分臭いと思うんだけど自分ではあんまり分からないから、何系の臭いがするか嗅いで教えて」と言いました。何系って。ラーメンだったら分かりますよ。家系ラーメンとかね。でも、足の臭いが何系なのかって言われても。足の臭いはそんなに何種類もないでしょ。
僕が「イヤだよー」ともう一度拒否すると、「お願い、お願い」と言ってくるので、仕方ないなと嗅ぐことにしました。息子・笑福、2歳半。プラレールで遊びながら僕ら夫婦の行動をチラチラ見てます。妻が足を僕の前に出すので、僕は勇気を持って崖から飛び降りるつもりで妻の足の親指あたりに自分の鼻を付けました。
何系なのか? やはり。足の臭い系でした。
お酢を超酸っぱくして、そこに納豆を入れたような酸っぱさと発酵感が僕を一気に火星まで連れて行ってくれる。そんな感じ。
僕が思わずせき込み。「すっぺーよ」と言うと、妻は「やっぱりな」と。いや、だいたい分かるだろ、と。
すると、それをジーっと見ていた笑福。僕が思わず笑福に言いました。「笑福も嗅いでみるか?」笑福は笑顔で「うん」と言って妻の足を自ら手で持ちました。
大好きなママです。
ママの足を手で持ち、思い切り自分の鼻に付けます。そして5秒ほど間が出来た後。「ゴホっ」と思い切りせき込み、大爆笑。せき込みながら大爆笑です。臭くて笑うしかなかったのか? ずっと笑っていました。
そんな日常を過ごしている僕たちですが、最近、ふと頭に過ぎることがあります。それは「二人目」について。前に妻は言いました。「笑福に弟か妹を作ってあげたいな」と。
僕は姉がいて二人兄弟。妻は妹がいて二人姉妹。兄弟がいることは、この年になってくるとあらためて心強いなと思います。父が二年前に癌になり、闘病を続けていますが、こういう時も、子供としての不安を姉とわかちあえて相談しあえることってありがたいなと思うんです。
そして、弟や妹が出来ることは、笑福にとっても大きな成長になりますし。
妊活してね、笑福という宝を授かれたことだけでもう贅沢です。だけどね、やはり二人目、考えますよね。だけどね、僕はもう45歳。妻はもうちょいで38歳です。そもそも僕の精子が運動率が悪かったり、問題はあったわけだし、妻の年齢も40近い。おそらく前よりも子供を授かることは大変なのではないかと思う。
僕のブログで「二人目を諦めるタイミング」についてのコメントが結構ありました。二人目を考えたけど諦めた人の声。リアルな声だなと思ったのは、一人目の子供が遊んだおもちゃや育児グッズを、二人目が出来た時の為にとっておいたけど、年齢と経済的な理由で諦めて、その日に、それを捨てたという言葉。
そんなことを考えていた時に、40歳を超えた知り合いのディレクターが車いすで会議に入ってきました。聞くと子供の運動会で転んで、ひびが入ったのだという。やはり年なんだと。笑福が数年後に学校の運動会に出て、親子競争に僕が出る時は50歳近くです。僕も同じようにけがをする可能性だってある。
最近、体力にかなり自信がなくなっている自分がいる。この一年で肺に異常がみつかったり、階段を上るだけでしんどかったり。年を取ったことを本当に痛感している。周りでも病気で倒れる同世代の人も増えている。
今年、僕より二つ上のディレクターさんが亡くなりました。確かに、後半、よく風邪ひくな~とか思ったけど、まさか死ぬなんて。心臓の病気でした。いきなり。昨日まで会議にいた人がいなくなる。死ぬってこういうことなんですけどね、現実感がない。いきなりすぎて。自分の中で死ぬかもしれないという選択肢がリアルに見えてきました。死ぬことなんて自分とは遠い距離にあったはずなのに、10年以内に死ぬこともなくはないよなと。
そんな中でね、仮に二人目を授かったとしてね、自分の体力とか考えるとね、本当に親として育てきれるのかなと本気で考えてしまいました。出来るものなら二人目を授かりたいという思いと、自分の年齢を考えて、親として責任もって育てられるか?
そこもちゃんと考えなきゃいけない年齢なんだなと。欲しいからだけではダメなんだよなと。それが年を取ること。あらためて考えている僕です。