マガジンワールド

「ブス恋♥もしも地震が。」 Vol.178

鈴木おさむエッセイ ブスの瞳に恋してる♥ 第178回「もしも地震が。」

 
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[ヤマザキマリの場合]
やまざき・まり/漫画家。イタリア在住。『テルマエ・ロマエ』は世界8カ国で翻訳。


子供が2歳過ぎたころ、うちは小学校のことを考えて、引っ越しをしました。もう小学校のことを考えるのか? と周りに驚く人もいますが。考えました。

周りで同じ年の子を持つお母さんたちも考えている人も多く。「私立がいいか? どこの学校がいいか?」とか話している。うちは保育園に行かせていますが、インターの学校に通わせている人もいるし、英語教育を始めている人もいる。

僕が最近、お仕事を始めた東大の医学部の現役の女性。この女性は、例えば、知らない曲の曲名が100個書かれた紙を見せると、20分ほどで暗記できてしまう特殊能力を持つ。数学オリンピックにも出場していて、小学校3年生の時には、数学の参考書、高校3年分まで暗記してしまったのだ。その女性に、子供の頃、特別な勉強をしていたか聞くと、「七田式」という脳を伸ばす塾に通っていたのだとか。早速、七田式を調べてしまう僕だったが。

僕は息子・笑福に、習わせたいことがある。一つは水泳。もう一つはプログラミング。プログラミングが出来る人に聞くと、やはり、子供に習わせたいとみんな言う。今、子供のプログラミング教室がかなり流行っているが、プログラミングが出来ると、それを将来生かすかどうかは別として、スマホのアプリを見て、何がどう動いてるかわかるようになるという。英語や中国語を喋れるのと同様、世の中の大きな仕組みを理解できるようになると。もし笑福が嫌じゃなければ、習ってほしいなと思う。ちなみに僕の知り合い、元暴走族で葛飾に住んでいるディレクターの子供は、とにかくゲームが大好き。そしてYouTubeが大好き。そんで、あまりに好きすぎて、小学校高学年になり、パソコンを買ってあげたら、なんと、ゲームを作り出したと。ゲームを作り出すと、普通のゲームをすることに飽きるんですね。

と、書いてきましたが。僕は、色んな勉強をさせたり、色んな塾に通わせたりしたいとは思わない。

で、私立と公立の小学校の話に戻るが。僕がある記事にこの「私立か、公立か問題」を書いたら、ネットで結構話題になってしまった。

どんなことを書いたかというと、僕は公立に行かせたいと。その一番の理由は「地震」。

南海トラフや東京直下型の地震など、来る、来ると言われている。僕は10年以内に絶対に大きな地震が関東を襲うと思っている。だって、ちゃんとした機関がその高い可能性まで発表しているわけだから、来ると思って生活している。2011年の東日本大震災から7年以上がたち。残念ながら、あの時の恐怖を、あの時のまま心に刻みながら都内で生活している人は少なくなっているはずだ。

あの震災の時、笑福はまだいなかった。だけど、今は笑福がいる。もし、電車で通わなければいけない学校に行かせて、電車に乗っている時に被災したらと考える。学校にいる時ならまだいいが、移動中に起きたら。連絡も取れなくなったらと。

公立ならば、家のすぐ近く。笑福でも歩いて3分のところだ。公園も目の前にある。このことを周りの人に言うと結構ビックリする。

3月11日が近づいた日に、このことを記事に書いた。叩かれるかなと思ったら、共感してくれる声が多くて驚いた。

あの震災の時に、実際に、電車で学校に通わせていた親の声。そして、家の近くに通わせていた親の声。地震や天災に備えて、働く場所を電車で通うところから家の近所にしたという人の意見まで。僕と同じ考えを持っている親御さんがいて。やっぱり、自分の考え方に間違いはないんだと自信がもてた。もちろん、これが120%の正解だと言い張るつもりもない。

子供を育てていくうえで、何を大事にしていくかは違っていいと思うから。だけど、僕は、地震や天災のことを考えて生活し、笑福を育てる。だから、少々気が早いと思われるが、いい建物があったので、引っ越した。

まったく話が変わるが、先日、家の洗面所で、妻がおならをした。猛烈に臭かった。なんと、おならをした妻自ら、その匂いに耐えられず、そこを去っていった。自分でした屁が臭くて逃げるって、これよっぽどですよ。

笑福が興味津々に「なにがあったの?」みたいな感じで近づいてきた。すると妻は笑福に「お母さんのお尻、臭いか、嗅いでみて?」と言って、笑福が思い切りお尻に顔をつけて、「くさ─い」と言った。そりゃそうだろ。もう一度、妻が「笑福、もう一回やってみて」と言ったら、笑福が妻のお尻に顔をギュっとつけて、そして「くさ─い」とやった。さすが芸人の息子だけあって、繰り返すことを知っている。そんな姿を見て、思わず笑う僕。

こういう日常の笑い。幸せ。

こういうことが当たり前だと思わないように。

常に父親の僕は頭の片隅に色々な「もしも」をひっかけておかなきゃいけないんだなと思う。


【今回の気づき】

もしもの時に備えて、住む環境を整えることも大切



鈴木おさむ
すずき・おさむ/放送作家。妻・大島美幸(森三中)との子育てもまる3年。長らくご愛読ありがとうございました。連載をまとめた『ママにはなれないパパ』が、絶賛発売中です!


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