第78回「結婚12周年に思う夫婦の価値観」
第78 回「結婚12周年に思う夫婦の価値観」
先日、このブス恋を読んでいて大好きだというちょっと変わった女性から編集部にお手紙が届きました。
瀧本さんという奥様。なんと、この方、旦那さまと現在、ヨットで大西洋を横断中なんだそうです。凄いですよね。冒険の途中、ポルトサント島という所で手紙を書いて送ってくれたんです。
夫婦でヨットで大西洋を横断するのが夢だったらしく、フランスでヨットを買い、横断を始めたそうです。船の中にはブス恋の本、1〜4巻までご丁寧に持ちこんで頂き、冒険の途中に読んでは笑っているとのこと。ありがたいですね。
その手紙の中で、僕らの正月休み、連休が取れたら一緒にヨットに乗って、時間が許す限り一緒に大西洋の島を渡りませんか? と書いてあります。ベッドルームも一つ空いてますと書いてます。
うん、ありがたい。大変ありがたいお誘いだけど、妻と協議した結果、速攻、お断りしますの結論。興味がありましたらご連絡くださいと書いてある後に、「ケイタイは海に落としました(笑)」だって。笑い事じゃないでしょ。なんてポジティブなんだ。ありがたいことにPCのアドレスまで書いてある。
ちなみに、正月はパナマ運河の近くを通る予定だとか。夫婦でバイクにまたがった写真まで一緒に送ってくれました。
うん、すごい。素晴らしい。何が素晴らしいって、この夫婦の価値観の一致ぶりにですよ。
これがね、豪華客船で旅してるんだったらそんなこと思いませんよ。ヨットですよ、ヨット。危険ですよ。二人きりですよ。時間があってもお金があっても、これは間違いなく旅じゃなくて冒険なんですよ。
夫婦二人で、こういうことをしたいと思う気持ちはあります。だけどね、それを実行に移す勇気。そして夫婦で一緒に行っちゃってる。旅が好きなのか冒険が好きなのか分かりませんが、「一緒に行っちゃおう」って思える価値観、素晴らしいですね。
2013年10月14日、僕ら結婚して12回目の結婚記念日を迎えました。もう12回目。早い。小学校、中学校、高校を足して12年ですからね。学生生活が最後の年って感じなんでしょうか。思えば確かにこの12年、夫婦の学園生活みたいだったな。
でね、やはり思うことは、夫婦にとって一番大切なのは価値観です。自分が大切にしている価値観が一緒だとその夫婦は仲良くなれる。一緒にいられる。
初期のブス恋の時から書いてますが、やはり、結婚して最初の頃に思ったこと。「この妻となら、もし、将来ホームレス生活になったとしても笑ってやっていけそう」という思いでした。
やっぱりね、僕みたいな仕事はね、今は仕事はあってもね、急になくなっちゃう人もいてね。不安なんです。明日から仕事なくなったらどうしようって本気で考える。何が起きるか分かりませんから、人生は。
でもね、結婚してから楽になれた自分がいるんですね。最低に格好悪い自分もこの人にだったら見せられるなってね。今の俺、こんなに格好悪いけどいいかな? って。プライドを捨て切った最高に恥ずかしい自分。いうなれば、お尻の穴ですよ。お尻の穴状態の自分を見せられる。
そう思ったのが結婚1年目。あれから12年経って、今もその思いは変わりません。
お金があったらありがたい。お金がなかったら仕方ない。その状況で笑っていこう、いつまでも。という価値観が一緒。これは楽ですよね。
だからお手紙くれた瀧本さんのところも一緒です。なぜ旅に出たのか分かりませんが、思いきれる価値観が一緒って素敵です。
毎年、結婚記念日に妻が僕に言うことがあります。「今年もよろしくお願いします」と。なんだろう。新年みたいでしょ。でも、そうなんですよね。お正月以外にも夫婦には新年があるんです。だらね、些細な言葉かもしれないけれどね、「今年もよろしくお願いします」という言葉に「分かった」って気持ちになれる。「今年も仲良くしようね」とか色んな言葉があると思うけど、そこでの「よろしくお願いします」。普段は僕には「クソジジイ」とかばっかり言うくせにね。こういう時は昭和の妻。こんなところの小さい「点」が繋がって一緒の価値観になれる。
瀧本さん夫婦にとっては大西洋横断という冒険がある。僕ら夫婦はそんな激しい冒険は出来ないけれど、2013年は妻がマラソンを走り、そしてこの原稿を書いている今、実は妻は髪の毛を切りに行きました。美容院じゃないです。仕事で坊主になるためにです。おしゃれ坊主じゃなく本当の坊主。映画で男役を演じるために坊主にしにいきました。今年の妻のお仕事はある意味、大西洋並みの冒険なのかもしれない。
さあ、坊主にしてきた髪型を最初に見た僕はどう思うのか? どうか笑えますように。
まだ冒険は続く。