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第96回「妊活のために精子検査を初体験!」

ブスの瞳に恋してる
 
「ミクロの精子圏」で出動を待機する精子のみなさん イラスト・ヤマザキマリ
「ミクロの精子圏」で出動を待機する精子のみなさん
イラスト・ヤマザキマリ
 
第96回「妊活のために精子検査を初体験!」
2014年2月。東京に大雪が降った日。僕は妻と一緒に新宿のある病院に来ていました。目的は妻と僕の検査。妊活休業を3ヶ月後に控えた妻が、検査だけはしておきたいと僕を連れてきたのです。妻は、子宮はもちろん、妊娠と出産に向けてのもろもろの検査。そして僕は、精子の検査です。
 
子供が出来ない理由はなにかと女性のせいになりがちですが、精子と卵子が受精して出来るのが子供ですから。子供が出来ない理由は男性のほうにも半分近くあると言われてます。考えてみれば当たり前ですよね。ですが、やはり検査まで至らない男性が多いのも現実。
 
妻は僕に精子の検査をして欲しいと言ってきました。僕も自分の精子の状態を知っておきたかったので、即OKしました。僕の知り合いの兄が実は無精子症だったことが最近発覚したりと、気づいてないけど、僕の精子にも問題がないなんて保証はないですから。
 
そのクリニックに入ると、大雪にもかかわらず沢山の人がいます。そして夫婦も結構いました。旦那さんと一緒に検査しにきたのでしょうか?
 
精子の検査。いろいろ噂は聞くけど、実際どんな感じでやるのか? 妻の検査が始まり、僕も別室につれて行かれました。そこは採精室というところ。3畳くらいの広さの部屋が二つ。採精室AとBと二つあります。その部屋の前に小さな歯医者くらいの受付があり、そこでプラスチック容器を渡されました。そこにはリモコンと綿棒が入ってるような透明のカップ。そこで言われます。「そちらのカップに精子を取って、持ってきてください」と。最低限の説明。詳しい説明はされません。
 
その容器を持ったまま、採精室Bに入ると、14インチくらいのサイズのテレビと、その正面にチェア。テレビの下にはズラリとエロ本が置いてあります。そうです。そこに座って「出してください」ってことなんですね。「もしかして」と思ってプラスチック容器に入っているリモコンをテレビに向けると、テレビがついた瞬間、女性のあえぎ声。そうです。AVです。女子高生ものでした。リモコンのチャンネル切り替え的なボタンを押してみると、チャンネルが変わって別のAV。今度は熟女ものです。残念ながらチャンネルはこの二つ。
 
正直、女子高生ものも熟女ものも僕の趣味ではありません。もうちょい真ん中のセンスあるだろと思ったり。そこで、一体、このエロ本とAVは誰のチョイスなのか? とか考えてみたりして。このエロ本とAVを選ぶ会議してるのかなと考えると笑ってしまう。このエロ本とAVでは無理だとジャッジした僕は部屋に持って行ったスマホを出し、エロ動画を見て発射することに。
 
なんかそわそわしながらズボンとパンツを脱ぎます。なぜそわそわするかって? だってね、数メートル離れた部屋には看護師さんがいるわけじゃないですか。しかも僕が「発射」するために入ったことを知ってるわけじゃないですか。そりゃ、そわそわするでしょ。
 
下を脱いでチェアに座り、スマホでエロ動画を見ながら、自分の股間に堂々と生えた方のリモコンを右手でシコシコして大きくしていきます。そこでふと疑問が。「何分くらいで発射すべきか?」という疑問。
 
だってね、早すぎると「この人早漏なんだ」とか思われるし、遅すぎると「どんだけ粘ってるんだよ」と思われる。考えた末、僕が出した答えは「15分で発射しよう」でした。それを人に言うと「長すぎじゃね? 12分くらいじゃね?」とか言うけど、そんな1分単位で削っていけないでしょ。それでね、いよいよ発射の時間が来るわけです。プラスチック容器の中にあった、綿棒入れのような透明のカップを僕の股間のリモコンに近づけます。
 
そこでさらに疑問。「全部入れていいのか?」。だってね、検尿とかって全部入れないでしょ? 検尿、満タンで入れていったらどんだけやる気あんだよって話になるでしょ?
 
だからね、最初の「発射」があって、それをカップにさっと入れてね、第二陣はね、入れなかったんです。一番絞りな部分だけ入れたわけです。それがいいだろうと思って。
 
それでカップの蓋を閉めて、受付に行きました。プラスチック容器に入れた精子入りのカップを、看護師さんに渡す。複雑ですよ。自分の精子を今日初めて会った女性に渡すんですから。
 
もし一個だけわがままを言えるなら、精子を入れる透明なカップ、周りから見えないように黒い紙でも巻いておいてくれたらいいのになとか思ったり。これで精子採取終了。
 
待つこと20分ほど。僕と妻は先生の部屋に入り、精子の検査の結果を聞くことになりました。その結果で、意外な報告を受けるのでした。


今回の格言
精子の検査に夫婦で行くと、夫婦にとっても新しい発見がある。
「子供が出来ない理由は男性のほうにも半分近くある」と言われているそうで……妊活のために、はじめて受けた精子検査の実況報告は、興奮と疑問がいっぱい! こんな「すごい初体験」は単行本『ブスの瞳に恋してる』シリーズ(1~4)にも!



鈴木おさむ
放送作家。妻・大島美幸(森三中)の妊活休業から出産までを、詳細につづった単行本『妊活ダイアリー From ブス恋』が大人気。育休ならぬ、「父勉」(父になる勉強)中。既刊『ブスの瞳に恋してる』シリーズ1~4。