第112回「妻以上にドキドキする健診」
第112回「妻以上にドキドキする健診」
今週から何回かに分けて、妻の妊娠してからの日々を夫の僕の目線でダイアリー形式で書いていきたいと思います。妊活ダイアリー妊娠編。
□妊娠11週目(2014年11月25日)
妻が母子手帳を貰ってきた。凄く嬉しそうだ。三度目の妊娠で初めて母子手帳を貰ってきた。
母子手帳を眺めて嬉しそうな表情をする妻だが、その顔を見て、嬉しい気持ちと、正直な所、苦しい気持ちも湧く。不安という気持ちなのだろうが。この妻の笑顔が悲しい顔になることなく、悲しい思いでこの母子手帳を見つめることがないよう、心の中で願う。
僕よりも妻の方が不安は何倍もあるわけで、だけど、今はこの母子手帳をもらうところまで来たことへの喜びと感謝で心を埋める。
□妊娠12週目(11月28日)
妻の為に何か出来ることがないかと考える。考えた結果、スーパーに買い物に行くときに使える買い物カートを購入した。ネットで妊婦さん用の買い物カートが出てきたので、これだったら野菜などを沢山買っても、転がしながら帰ってくることが出来ると思い、購入。
この日届いたカートをテンション高めに妻に見せるが、正直、ちょっとダサめのデザインからか、妻は「ありがとう」と言うが、そのリアクションを見て、僕は心の中で「あ、これあんまり使わなそうだな」と思う(*案の定、2015年になっても使う様子は見られなかった)。こういう妊婦さん用のカートで安くてもっとデザインが可愛いものがあればいいのにと勝手に思う。
他にも妻がとにかく無事に安定期に突入するために、何か出来ないかと妻に聞いたところ、「風呂掃除をお願いしたい」と言われて、自分がお風呂から出た後にお風呂掃除を始める。
奥さんが妊娠すると旦那さんがお風呂掃除をするというのは超あるあるで聞いたことあるが、そのあるあるに自分も足を踏み入れた瞬間、嬉しさがにじむが、実際に風呂を洗ってみると、すぐに腰が痛くなり、自分の42歳という年齢を実感。夫が風呂掃除用に使えるもっといい道具がないのか? と考えてしまう。買い物カートもそうだが、すぐに何か新商品などを考えてしまう。職業病だな。
□妊娠14週目(12月12日)
妻と健診に行った。過去二回、妊娠した時には、僕は最初から一緒に病院に行っていた。
一度目の妊娠の時。最初の検診に行き、二回目の検診にも一緒に行き。三回目は「今日は行かなくても大丈夫だね」と言って、妻を見送った。30分ほどだった頃、妻から電話がかかってきて、出たら妻が泣いていて、何が起きたかすぐに分かった。
二度目の妊娠の時も。最初と二回目の健診には行けたが、三回目は仕事の都合で一緒に行けず。会議中、妻から報告の電話も連絡もなく。超大事な会議だったのに気が気じゃなく。
一時間以上たって電話があり、妻は泣いていた。
二度とも三回目の健診の時に一緒に行けず、そこで残念だったことが分かった。
だから、今回、妊娠が分かってから一緒に病院に行くのを悩んだ。最初一緒に行って、途中、行けない時があったら、そこでまた同じことが起きたら…と考えてしまい。そこでまた妻が悲しい思いをしちゃうんじゃないかっていう気持ちがあり。ネガティブなゲン担ぎになってしまうというか。なので今回は最初から僕は行かなかった。
そして今日。その時間、行こうと思えば一緒に行けた。今回の妊娠で三度目の健診。妻が「一緒に行ってほしい」と言ってきた。僕の思いを話した。今回、なんで一緒に行ってないかを。でも、妻はついてきてほしいと言った。だから行くことに決めた。
その病院は妻が最初に妊娠した時に行った病院。その先生に会ったのは、妻が流産が分かって、その手術をした時以来だった。先生は僕の目を見て笑顔で「久しぶりだね。おめでとうだね。今回は大丈夫」と力強く言ってくれた。先生の言葉ってすごいな。
目の前で検診が始まった。どうしよう。子供の反応がなかったら。そのことばっかり考えていた。先生がエコー検査を始める。
目の前のモニターに、動く子供が見えた。動いていた。小さな体をしっかり動かしていた。沢山の不安が一気に動く命に変わっていった。僕よりも妻の方が何倍もドキドキしているはずだ。妻が「動いてる。かわいいね」と言った。
妻と同じ経験をしてる人、それ以上の悲しい経験をしてる人も沢山いて、そういう人たちは健診の度にこの不安と戦い、そして心音が聞こえてその姿が見えた時に希望に変わっているのだろう。
行ってよかった。だからこの日から、健診は毎回行くと決めて、自分のスケジュールに合わせることにした。妻が仕事していたら、僕のスケジュールに合わせることは出来なかっただろう。妊活休業を取ると、こういうところにも利点があると気づく。
健診に行くたびに、自分の中での不安が希望に変わり、妻の顔の不安が希望と未来に変わる。それを見ることが出来るのがすごく嬉しい。