「ブス恋♥夫婦喧嘩、そのとき息子は。」 Vol.163
鈴木おさむエッセイ ブスの瞳に恋してる♥ 第163回「夫婦喧嘩、そのとき息子は。」
先日、久々に妻と喧嘩した。その数日前まで妻はイッテQで5日間ロケに行きっぱなしだった。相当疲れたようで、戻ってからも、疲れがたまりまくったまま笑福の育児をしていて、かなり辛そうだった。
妻がいない間は、妻のお母さんが来てくれて笑福の面倒を見てくれた。とはいえ、僕が笑福に対して気にしなきゃならないことは増える。まあ父親だからそんなことは当たり前なのだが。ただ、映画撮影が終わってすぐに舞台の台本書きと稽古。そして春から始まった新番組が視聴率と激しく格闘中だったりするので、僕もかなり疲れがたまっていた。
僕も妻も、精神的にも肉体的にも疲れがたまりまくっている中で、それは起きた。
朝、起きたら妻がかなり疲れてたので、朝ご飯は僕が作ることにした。僕と妻と笑福の分。僕がうちで朝ご飯を作ることは、週の中で何回かある。やれるときはやろうと思っている。前日に炊いたご飯が炊飯器にあったので、チャーハンを作ることにした。冷蔵庫を開くと豚肉がある。ちなみに、我が家はお肉を買ってきたらまず冷凍庫に入れる。使う前日から解凍するようにしている。冷蔵庫の真ん中に置かれていた豚肉を取ってみた。ちょっとだけ豚肉の色が疲れている気がしたが、気にせず使った。
笑福はチャーハンにお肉を入れると、食べるときと食べないときがあった。豚肉を入れて炒めたチャーハンはかなりいい味に仕上がった。僕と妻の分に豚肉をたっぷり入れた。笑福のチャーハンの豚肉は少量。
僕が料理を作りだすと、妻はお風呂に入った。前日の夜は、疲れすぎてお風呂に入ることも出来なかったからだ。
料理が出来て、僕は作ったチャーハンを笑福に食べさせる。自分も食べる。笑福はお気に入りだったようで、バクバク食べてくれた。9割ほど食べ終えたところで、妻がお風呂から出てきた。そこで僕はさらっと言った。「冷蔵庫の豚肉、半分使いましたー」と。
すると妻が「えっ」と言って動きが止まった。そして「あれ賞味期限過ぎてるよ。25日。今日、29日だよ」と。僕が「え? あれ、解凍したやつじゃないの?」と言うと、妻はかなりイラっとしながら「違うよ。お母さんが買ってきたやつじゃん。なんで賞味期限見ないの?」と言った。
僕もイラっとしてしまい「いや、解凍したやつだと思ったジャン」と言うと妻は「賞味期限見てよ」とさらにきつく言う。「いやいや、いつも賞味期限見ないジャン。冷凍するんだもん」と僕も激しく言い返す。「お母さん、買ってきて置いてあったのに、なんで気づかないかな?」とさらに激しく言われたので「っていうか、賞味期限過ぎてるんだったら、なんで捨てないの?」と僕も強く返す。すると妻が「ゴミ箱臭くなるジャン」と言った。
納得いかずに、僕が「いやいやいや、袋に入れて捨てればいいジャン」と言うと「普段、ゴミもあんまり捨てないくせに」と別の方向に話がそれ出す。
いつもだったら僕が途中で折れるのだが、今回はひけないと思ってしまった。すると妻が僕から目線を外して、「もうこれから料理作らなくていいよ」と言ったので、僕も売り言葉に買い言葉。「もう作らないよ!」と言い放ち、立ち上がってシャワーを浴びに行った。
僕と妻が言い合いをしているときに、笑福は僕らの間にいた。トーマスのおもちゃを持って、笑っている。僕と妻の言い合いが激しくなればなるほど、笑っている。笑福なりにわざとやっているのか。
僕はシャワーを浴び、着替えて仕事の用意をして、リビングに行った。笑福は妻の体にぴったり付いている。妻の顔に泣いた跡があったのが分かった。
妻は僕を見て見ぬフリをしたので、笑福にだけ話しかけることにした。「笑福、行ってくるね」と。
すると、笑福は僕を無視。いつも出かけるときはギュっと抱き合ってから行く。なので僕を無視した笑福に「笑福、ギュっとしよう」と妻のそばにいる笑福の腕をつかもうとすると、2歳の息子にかなり強く振り払われた。
僕がセクハラしたかのように。「触らないでよ」的勢い。すると笑福は僕を見て、2歳の子供がこんな目をするのかよというくらい冷たい目を放った。
自分が大好きなお母さんに激しい言葉を浴びせて泣かせた。許せない!となったのだろう。
だったら俺が守ってやる!!と。僕を無視、腕を振り払ったのだ。
正直、めちゃくちゃショックだった。一年育休を取り、笑福との友情の絆は結構太いと思ってたので……。僕は笑福が生まれてから感じたことのない喪失感を抱いたまま仕事に出た。