「ブス恋♥アオ信号の色。」 Vol.173
鈴木おさむエッセイ ブスの瞳に恋してる♥ 第173回「アオ信号の色。」
そんな息子は街を歩いていても、気になったことを「これ、なーに?」と聞いてきます。
スーパーとか一緒に歩いていて、知らない野菜とか果物を聞いてくるうちは可愛いです。
たまにお店に貼ってある電子マネーのシールを指して「これ、なに?」と聞かれた時には困ります。一番低いレベルで言うと「シールだよ」と言えばいいのですが、それでは笑福も納得しないでしょう。だから「お金をスマホで払えるってことだよ」と一応説明をしますが。
当然理解してないと思います。でも、説明をする気持ちが大事なのかなと思ったり。
妻を見ていると、一つずつちゃんと説明しています。僕はたまに説明するのが面倒になってしまう時があるのですが、やはり母親は優しく丁寧に説明しています。
息子を見ていて、言葉を覚えることと、読めるようになることはまた違うんだなと気づきます。話せる上で、読む。読むことが高度だとわかります。笑福は数字を1から10まで言えるようになりました。妻が笑福とお風呂に入っている時に、一緒に「いーち、に~~、さ~~~ん」と聞こえてきた時には、僕と妻も子供を授かることが出来たんだとあらためて実感するのです。そして、その瞬間に思わずニンマリして、感謝します。
数字を数えられるようになったかと思い、エレベーターに乗り、「5」を指して「これ、いくつ
だ?」と聞くと「にーーー!」と言います。「1」は「いち」と読めるのですが、それ以外はなんでも「にーー」と言ってしまいます。でも、そのうち、すぐに読めるようになるんでしょうね。
僕も45歳。新しいことを覚えるのがしんどくてしんどくて。息子を見て羨ましくなってしまいます。
笑福が最近、覚えたものに、「色」があります。赤・青・黄色、意外にも緑、ダイダイ、ピンク、白、黒。沢山の色を言えるようになりました。色は数字と違い、言葉だけでなく、色を見て認識しています。最初に覚えたのは赤で、そこから白。そのあとに他の色も覚えていったようです。
で、先日、保育園に行った時のことです。なるべく一緒に歩きながらも色んなことを教えるように努力しています。特に道の歩き方。「信号が赤になったら止まる」と。
ある日、横断歩道の前で「赤になったら止まるんだよー」と耳元で言ったあとに、信号が赤になり車が一斉に止まると「とまったーーーー」と驚きました。そのあと、青になったら歩き出すということを教えようと思い。信号が青になった時に笑福に言いました。「色、変わったね。あれ、何色?」と。すると笑福は元気に言いました。「みどりーーー」と。
そうです。信号、僕らは青と言ってますが、どう見ても緑ですよね。緑と言った笑福は間違いじゃない。どう言ってあげたらいいんだろう? と思い、保育園の先生に聞いてみた。「先生は信号の青、子供に緑だって言われたことありませんか?」と。すると先生は、超あるあるらしく、教えてくれました。「青信号だよ! って言うと、子供たちに緑じゃないか! って突っ込まれまくるんです。だけど、先生も緑だと思うけど、信号は青って言うんだよーって言うんです」と。先生も同じことで悩むんだと。
そんでネットで調べてみる。なんで緑じゃなくて青なの? って。緑信号を青信号と呼ぶのは日本だけで、1930年、日本に初めて信号機が設置された時はまだ、青信号を法令的には緑色信号と呼んでいた……と。
でも、そこからなぜか新聞や人々は青信号と呼びだした。ここからはいくつか諸説あり。
元々日本では「緑」という表現をする習慣があまりない。緑色なのに「青りんご」と呼びますよね。緑が生い茂ってるところでは「青々としてる」と言ったり。確かに。日本語では緑という表現をあまりしないから青になったと。でも、そうだとしたら、緑かわいそう。
他の説としては。日本では赤の対比に青を使うことが多いとか。色々ありますが。
結局どんな説であれ、子供たちは納得しないでしょう。
緑なのに青。青と覚えてもらうしかない。そう考えると「緑なのに青と言う」というのが、子供が一番最初に乗り越える矛盾なのかななんて思ったりして。大人になっていくと、沢山の矛盾、乗り越えなきゃいけないからね。なんて子供には言えないよなー。