マガジンワールド


FOOD NEWS vol.79 平野紗季子のMY STANDARD GOURMET 『亜細亜割烹 蓮月』の焼き餃子と水餃子

FOOD NEWS
  • RESTAURANT _ 犬養裕美子
  • GIFT _ 真野知子
  • SWEETS _ chico
  • NEW STANDARD _ 平野紗季子
vol.79
平野紗季子のMY STANDARD GOURMET
『亜細亜割烹 蓮月』の焼き餃子と水餃子
焼き餃子と水餃子。各¥600。ペロリと食べられる軽やかさも魅力のひとつ。女子ひとりでも、水餃子&焼き餃子一皿ずつの完食は余裕だからどっちも頼もう。
焼き餃子と水餃子。各¥600。ペロリと食べられる軽やかさも魅力のひとつ。女子ひとりでも、水餃子&焼き餃子一皿ずつの完食は余裕だからどっちも頼もう。
 

ある日、乃木坂で「餃子600円→」と書かれた謎の看板を見つけた。矢印に誘われるように路地裏に入ると、そこにはぽつんと一軒の灯り。こんなとこに店があるのか…と面白くなって扉を開けると、賑わう店の奥から中華鍋をふるうシェフの「いらっしゃい!」という声が飛んできた。それが店主の品川祐司さん、常連さんからは“餃子ヲタ”と呼ばれる人だ。

彼の作る餃子には様々な掟がある。カリッとモッチリの焼き餃子は、その2つの食感が最大限引き立つようヒダの厚さや形に猛烈にこだわる(氏曰く、小さくぎゅっと餡のつまった“ぽっちゃり型”がベストだそうな)。餡はシンプルな素材と味付けで、ほんの少し甘いのが肝。それをスパイスたっぷりの香り良い自家製ラー油につけていただけば、素直で上品な旨さが広がり一皿6粒は女子でも瞬殺。対する水餃子は羊肉とパクチーの魅惑の香りを閉じ込めた逸品で、品川氏が中国の東北部で食べた感動の水餃子がベースになっているとか。かくして品川氏の手作り餃子ファンは増え続け、オープンから半年、今やすっかり人気店に。餃子もさることながら、パクチーサラダや〆のタラコ麺などなにかと気の利いた料理が揃う『亜細亜割烹 蓮月』。こんな店が近所にあったら嬉しい、いい加減に飲んで食べて幸せになれる、気取らないみんなの中華屋さんだ。

ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。
 
亜細亜割烹 蓮月亜細亜割烹 蓮月
東京都港区南青山1-23-7 Grange南青山101 ☎03・6432・9640 17:00~23:00 不定休 店主の品川さんの明るくて謎めいたキャラクターもラブい。好きな食べものはキットカットだそうです。


写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子