マガジンワールド

FOOD NEWS vol.75 平野紗季子のMY STANDARD GOURMET 『ゴールデン バガン』のひよこ豆チャーハン

FOOD NEWS
  • RESTAURANT _ 犬養裕美子
  • GIFT _ 真野知子
  • SWEETS _ chico
  • NEW STANDARD _ 平野紗季子
vol.75
平野紗季子のMY STANDARD GOURMET
『ゴールデン バガン』のひよこ豆チャーハン。
ひよこ豆チャーハン¥1,000(税込み) 豆の国ミャンマーの底力を見た気が。発酵した茶葉を使ったお茶の葉サラダや、ひよこ豆で作った豆腐の揚げもの「トーフージョー」など、魅力的な食べ物ばかり。
ひよこ豆チャーハン¥1,000(税込み) 豆の国ミャンマーの底力を見た気が。発酵した茶葉を使ったお茶の葉サラダや、ひよこ豆で作った豆腐の揚げもの「トーフージョー」など、魅力的な食べ物ばかり。
 

わけいっても、わけいっても、ひよこ豆。曙橋のミャンマー料理店『ゴールデン バガン』のひよこ豆チャーハンからは、ゴロゴロひよこ豆がこぼれだす。それをスプーンいっぱいにばぐっと頬張ればなんじゃこりゃ。ボソボソ要素ゼロのなめらかひよこ豆の底抜けに優しい甘さと、フライドオニオンやごま油のキリッと効いたチャーハンの塩気が掛け算的に大爆発。甘いよ旨いよ、シンプルなくせに奥深いよ…。そんな甘旨のエンドレスラリーに食べてるこっちも笑いながら泣きそうになる。この魅惑フード、そもそもミャンマーでは朝ごはんとして食べられているものだそう。「ひよこ豆ごはんにミルクティー。このセットで最高の朝が始まるんだ」と、店主の山ちゃん(というあだ名のサイさん。ミャンマーはシャン地方の出身です)と奥様のモモさんはニッコリ。なるほど納豆ごはんの要領か。

「そこに卵のせたら日本の人は大好きかなと思って。見た目もいいしね」って、見透かされてます…! それもそのはず1991年に来日して以来、料理人歴20年を超える山ちゃんは日本人の好みもすっかり熟知。刃物みたいに鋭利なエスニック料理もいいけれど、山ちゃんのミャンマー料理は初めてなのにあったかい。新しい発見に満ちているのに、すっと胃袋に馴染んでしまう心地よさがあるのです。

ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。
 
ゴールデン バガンゴールデン バガン
東京都新宿区富久町8 – 2 0 ☎03・6380・5752 11:30~14:30 、17:00 ~ 22:00 日曜休 ※祝日は夜のみ営業


写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子