マガジンワールド

FOOD NEWS vol.90 chicoのお菓子な宝物。『PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI(パティスリィ アサコ イワヤナギ)』のクレア

FOOD NEWS
  • RESTAURANT _ 犬養裕美子
  • GIFT _ 真野知子
  • SWEETS _ chico
  • NEW STANDARD _ 平野紗季子
vol.90
chicoのお菓子な宝物
『PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI(パティスリィ アサコ イワヤナギ)』のクレア
自立できないほどふわふわのチーズケーキを、求肥がそっと包み支えるクレア¥600。「和洋にとらわれないで味わいで素材を考えて」、自然と求肥にたどり着いたそう。
自立できないほどふわふわのチーズケーキを、求肥がそっと包み支えるクレア¥600。「和洋にとらわれないで味わいで素材を考えて」、自然と求肥にたどり着いたそう。
 
チーズをこよなく愛する岩柳麻子シェフだけに、ショーケースにはチーズケーキが4種は並んでいる。なかでも「クレア」は特別。「実はずいぶん前に完成していましたが、繊細すぎて出せなかったんです」。10年間シェフパティシエを務めた『ドゥ・ボン・クーフゥ』では、百貨店へ運ぶのが難しく出せずにいたお菓子。この冬、自分の目の届く範囲で出来たてを出せる『アサコイワヤナギ』をオープンすると、幻のお菓子は満を持して彼女のシグネチャースイーツになった。

トップのスグリまで白い、クリームチーズとフロマージュブランの純白にフォークを入れると、とろりと溢れる深紅のソース。キュンと甘酸っぱいソースのフランボワーズは、ご主人の実家、山梨「宿沢フルーツ農園」からの恵み。秋にはシャインマスカットがゴロンと入ったりと(これも食べたい!)果物は旬ごとに変わり、チーズケーキにも季節の移ろいが映される。口にした時の儚いふわっふわの淡雪食感は、そうだ、クレームダンジュのあの感じ。けれどクレームダンジュと違い、まわりを包むのはガーゼでなくすべすべの求肥。だから丸ごと食べられるし、お年寄りから子供までみんなに優しい。そのやわらかな口当たりは、温もりまでそっと包みこむようだった。

チコ スイーツライター。大人気のガイド本『東京の本当においしいスイーツ探し』(ギャップ・ジャパン)シリーズ監修。
 
PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGI
東京都世田谷区等々力4-4-5 ☎03・6432・3878 10:00~19:00 月曜休


写真・清水奈緒 スタイリスト・中根美和子 文・chico