マガジンワールド

FOOD NEWS vol.99 平野紗季子のMY STANDARD GOURMET 『インド富士子』の2種盛りカレー

FOOD NEWS
  • RESTAURANT _ 犬養裕美子
  • GIFT _ 真野知子
  • SWEETS _ chico
  • NEW STANDARD _ 平野紗季子
vol.99
平野紗季子のMY STANDARD GOURMET
『インド富士子』の2種盛りカレー
カレー2種盛り(¥1,200)。『インド富士子』のカレーにはチャイでもラッシーでもビールでもなく、インド富士ソーダ(¥400)、あるいはサワー(¥500)を合わせたい。タマリンド、ターメリック、クローブなどなど数種のスパイスが効いて、カレーとの相性が最高。おつまみは¥300から。
カレー2種盛り(¥1,200)。『インド富士子』のカレーにはチャイでもラッシーでもビールでもなく、インド富士ソーダ(¥400)、あるいはサワー(¥500)を合わせたい。タマリンド、ターメリック、クローブなどなど数種のスパイスが効いて、カレーとの相性が最高。おつまみは¥300から。
 

東小金井のカレーの名店『インド富士』の2号店が高円寺にオープンした。その名も『インド富士子』。ってそのネーミングちょっと可愛すぎやしませんか、ずるいぞ富士子、突然の親近感が出てしまう。というわけで街の人々に早速愛されている富士子。「ここで店をやるって想像したら、なんだかいい予感しかしなかったんです」と言うオーナーの小城正樹さんの予感は的中で、2月に開店したばかりとは思えないほど角のとれた居心地の良さが既に醸成されている。ガッと食べてサッと帰るのもいいけれど、小技の光るインドなおつまみをあれこれ、スパイスたっぷりのインド富士ソーダ(まるでインドのコカ・コーラ! サワーもあるよ)を飲み飲みしつつ、のんびりカレーをいただくまでのゆらり流れる一連の富士子タイムはいい感じ、としか言いようがない。小城さんがインドを旅しながら(とりわけ南インドを中心に)出会った味をベースに仕上げられたカレーは、辛みと油分をそっと抑えたなんともリラックスな味わい。世の中には“カレーと俺のボクシング”的な強烈カレーに汗をかきかき挑む楽しさもあるけれど、ふーっと肩の力を抜いてさらさらカレーを頬張ってスパイスの香りに揺られているのもまた幸福なこと。「お茶漬け系って感じかなー」という小城さんの言葉がじーんと沁みた。

ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。
 
インド富士子インド富士子
東京都杉並区高円寺南3-59-11 ☎非公開 18:00~23:00 火曜休 Twitter(@indfjk)でその日の営業状況が確認できます。


写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子