マガジンワールド

FOOD NEWS vol.91 平野紗季子のMY STANDARD GOURMET 『PATH』のサンドイッチ

FOOD NEWS
  • RESTAURANT _ 犬養裕美子
  • GIFT _ 真野知子
  • SWEETS _ chico
  • NEW STANDARD _ 平野紗季子
vol.91
平野紗季子のMY STANDARD GOURMET
『PATH』のサンドイッチ
ジャンボン・フロマージュのサンドイッチ(¥980)に卵ボーロのようなマドレーヌ(¥200)に発酵苺ジュース(¥750)。まっすぐに美味しい朝食メニューも最高だが、夜は夜で味覚の冒険に満ちたガストロノミックなコースメニューが味わえる。『PATH』、朝も夜も本当に楽しい!
ジャンボン・フロマージュのサンドイッチ(¥980)に卵ボーロのようなマドレーヌ(¥200)に発酵苺ジュース(¥750)。まっすぐに美味しい朝食メニューも最高だが、夜は夜で味覚の冒険に満ちたガストロノミックなコースメニューが味わえる。『PATH』、朝も夜も本当に楽しい!
 

とびきりのサンドイッチに出合った。代々木公園『PATH』のジャンボン・フロマージュ、見た目はシンプルながら一口目の爆発力がとんでもない。ガリッと焼かれて中むっちりの香ばしいカンパーニュに、ジューシーハムとカマンベール、それからオリーブオイルの青い香りと厚切りバターのコク…つまりは良質な脂の旨味がじゅわっと溢れだす。この美味しさの全員集合感はなんとも重みがあって、ただパンに具を挟んだのでは生まれない圧倒的構築力に震える。「パンもハムも自家製ですよ」。そうさらりと言われて店内を見渡せばいよいよわかってくる。ここ、ただのおしゃれカフェじゃない……。厨房器具はイカついし、棚には自家製ジュースが発酵し、カウンターには焼きたてクロワッサンがきらきら輝いている。つまりあらゆる仕事が本物。そんな店を仕切るのが、シェフの原太一さんとパティシエの後藤裕一さん。彼らはかつて『キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ』で共に研鑽を積んだめきめきの実力派。後藤さんが焼いたパンに原さんが仕込んだハム、彼らの技術と感性の結集したサンドイッチはまさにこの店の象徴なのだ。こんな一皿を朝から食べられるなんて(店のオープンは8:00!)なんと贅沢なことか。ぬくぬくの毛布より魔力ある特別な朝食、この店のおかげで街の地価があがりそうなレベル。

ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。
 
PATHPATH
東京都渋谷区富ヶ谷1-44-2 A-FLAT1F ☎03・6407・0011 8:00~15:00(14:00LO)、18:00~24:00(23:00LO ) 月曜休、月に1回日曜休


写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子