マガジンワールド

FOOD NEWS vol.20 犬養裕美子の今日、どこで何、食べる? 『梅香』の汁なし担々麺。

FOOD NEWS
  • RESTAURANT _ 犬養裕美子
  • GIFT _ 真野知子
  • SWEETS _ chico
  • NEW STANDARD _ 平野紗季子
vol.20
犬養裕美子の今日、どこで何、食べる?
『梅香』の汁なし担々麺
自家製ラー油、山椒油、黒酢、醤油などのタレの上に細めの麺。ネギ、冬菜(漬物)、豚挽き肉味噌、松の実などの具を飾る。¥5,400のコースか、単品なら¥1,510でコースの2倍の量でとりわけできる。
自家製ラー油、山椒油、黒酢、醤油などのタレの上に細めの麺。ネギ、冬菜(漬物)、豚挽き肉味噌、松の実などの具を飾る。¥5,400のコースか、単品なら¥1,510でコースの2倍の量でとりわけできる。
 
姉の山村光恵さんが料理、妹の昌代さんがサービスを担当。中華料理店『梅香』は姉妹で営む。女性が作るから「優しい四川料理」と思われがちだが、光恵さんの味は思いきり潔く、そして辛い。というのも光恵さんの師匠は、四川出身、銀座『趙楊』の趙楊氏だ。10数年前、趙楊さんの案内で四川の成都を取材した。その頃、光恵さんは趙楊さんの店で修業していたのだ。「覚えています。あのあと汁なし担々麺はブームになりましたね」。〝担々麺〞とはまさにその字の通り〝担いで担いで運ばれた麺〞。担ぎ棒の両端に麺と具、鍋や炭を吊り下げ、注文があるとどこへでも行き、その場で仕上げる。19世紀半ばに生まれたストリートフードは、家庭でも公式の晩餐会にも出る伝統食になり、今や四川省政府の登録商標に指定されているほど。

「コースの最後にほんの一口出すものです。それを熱いうちによくかき混ぜて香りを楽しみながら食べるのが正しい」。光恵さんの作る担々麺からも香ばしい香りが立ち上る。最初の一口目はマイルドだが徐々に辛くなり、最後は痺れるような刺激でスッと消える。この時間差攻撃が病みつきになる理由。あなたもぜひ!

いぬかい・ゆみこ レストランジャーナリスト。東京を中心に、国内外の食文化、レストラン事情をレポート。
 
1919-anan-food-shop梅香(メイシャン)
東京都新宿区横寺町37-39 中嶋第一ビル1F 
☎03・3260・2658
12:00~13:30LO(火曜はなし)、17:30~21:30LO(土・日・祝日は~ 21:00LO ) 
月曜休


写真・清水奈緒 取材、文・犬養裕美子