FOOD NEWS vol.71 平野紗季子のMY STANDARD GOURMET 『メガネコーヒー』のハムサンド
![FOOD NEWS](https://img.magazineworld.jp/2015/05/food_news_ttl.png)
- RESTAURANT _ 犬養裕美子
- GIFT _ 真野知子
- SWEETS _ chico
- NEW STANDARD _ 平野紗季子
vol.71
平野紗季子のMY STANDARD GOURMET
『メガネコーヒー』のハムサンド
![ハムサンド¥550(+¥200で「ハム増し」にも) ドリンクすべて¥550(おかわりは¥220!) 今年の6月にオープンしたばかり。「コーヒー不毛地帯の桜上水だからこそ、本当に美味しいコーヒーを街のみんなに飲んでほしい」と、店主の竹日さん。写真、牛乳でごめんね。](https://img.magazineworld.jp/2015/09/an1970-food-700x490.jpg)
小さな丸皿にのって登場したハムサンド。食べる前にじっと見つめたくなる、ピンクとホワイトのストライプ。うん、かわいい。そして美味しそう。だって美味しさが顔に出てるもん、自信満々な表情なんだもん…なんて思いながら口に運べば、うーんやっぱり。柔らかいのに弾力のあるテンピュール枕のごとき食パンから、ジューシーなハムがとろけだす。低温調理で仕上げられた特製ハムはタダでさえ柔らかいのに、焼きたて食パンの余熱でいっそう脂が溶けだす幸福な関係。だからとろけるハムサンド。これは上等、こだわり尽くしの逸品だ…と圧倒されつつも、全体の味わいが甘く仕上げられているせいで、すっかり癒されてしまう無邪気な後味も魅力。そう、ハムサンドの前でかっこつける必要なんてない。口いっぱいに頬張って牛乳で流し込めばそれだけで素晴らしい。そんなシンプルな多幸感を抱かせる、大人っぽくて子供っぽい特別ハムサンド。それがメガネコーヒー自慢の一品なのだ。駆けつけにハムサンドと牛乳をやった後は、お代わり半額以下の良心システムに身を委ねてコーヒーをオーダー。コーヒー道を15年以上歩んできた店主・竹日渉さん(勿論メガネを着用)の、美味しくて丁寧な一杯をいただけば、瞬く間に完璧な昼下がりの出来上がり。
ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。
写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子