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Money : 被災地支援も賢くなくちゃ。 応援しながらできる投資 Part 2

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被災地支援も賢くなくちゃ。応援しながらできる投資 Part 2

東日本大震災から4年。私たちにこれから何ができるのか。支援のかたちは一つではありません。たとえばその支援が、お金を賢く使って貯めることに繋がったりもするんです。
教わる人
堀川 静さん
ライター
堀川 静さん
「宵越しの銭は持たない」ことを美徳とし、主に霞を食べて生きてきた独身34歳。が、この企画を機に心機一転。よりよい人生と世界平和を夢みて、手堅く賢い投資家を目指す。
教えてくれた人
猪尾愛隆さん
ミュージックセキュリティーズ取締役
猪尾愛隆さん
ミュージシャンから企業まで、様々な少額投資のプラットフォームを運営。震災後すぐに被災地へ出向き、支援しながら投資もできる被災地応援ファンドを考案。


 
時間の経過により変化していく支援方法。現地の商品購入や観光をはじめ、投資など支援する人とされる人とがダイレクトに繋がる応援が理想的。だって人間だもの。
時間の経過により変化していく支援方法。現地の商品購入や観光をはじめ、投資など支援する人とされる人とがダイレクトに繋がる応援が理想的。だって人間だもの。


寄付
時間の経過とともに減少傾向。寄付先が選べないこともあり用途が分かりづらい。
ボランティア
震災後即戦力になるが、経過とともに減少傾向に。時間と体力が必要。
預金(融資)
預金の一部が融資に。預金は減らせないので実績がない挑戦には回りづらい。
税金(補助金) 
税金の一部が補助金に。公平性が大事なため用途が限定されてしまう。
現地の商品を買う
日常のなかで楽しみながら、誰にでもできるので継続的な支援に繋がる。
現地に観光に行く
商品を買うのと同様に楽しみながらできる。現地の現状を知る機会にも。
現地に転職する
時間や体力、そして人生を変える覚悟が必要。最近の流れとして増えている。
投資
支援したい企業が選べる上に、誰にどんなふうに役立っているかが見られる。


 
1分で分かるQ&A
Q.被災地への支援方法は?
A. 震災直後はボランティアや支援物資など人力や物による支援が有効だが、その後、継続的な支援となるとやはり経済的な支援が不可欠。なかでも投資は今後最も有効な手段の一つとなる。
Q.どうやって投資するの?
A. まず応援したいと思う企業を見つけること。被災地には小さいながら魅力的な企業が数多くあるので、セキュリテ被災地応援ファンドから検索するのが便利。初心者にもわかりやすい。
Q.震災による変革とは?
A. 大手メーカーから依頼を受け商品を開発・製造するOEMがほとんどだったため、技はあっても名前が知られていなかった企業も震災を機に独自ブランド開発や販路開拓にも積極的に。


 

投資による被災地支援なら、一方通行になりません。

堀川 被災地支援の手段として投資は有効ということですが、正直なところ、投資家にとってはどうなのでしょう?
猪尾 もちろん、元本保証はありませんが、私がすごく実感しているのは、ファンドをご利用いただいている東北の事業者さんはとても魅力的な会社が多いんです。
堀川 どうしてですか?
猪尾 ファンドをご利用いただいている東北の企業の多くは震災を機に世代交代が一気に進みました。復興には10〜20年先を見据えなくてはいけないので、必然的に企業の若返りが起き、日本全国の地方の中小企業が抱えているいつかは着手しないといけない課題に対し変革や新しいチャレンジが行われはじめたんです。
堀川 震災の悲しい出来事をいいきっかけとして転換したんですね。
猪尾 そして、一番の魅力は被災地の皆さんの仕事への意識です。
堀川 と言いますと?
猪尾 被災地のみなさんは震災後働きたくても仕事がない状態を数カ月味わった。そこで、仕事は空腹を満たすためや生活のためだけにあったんじゃない、仕事を通じて誰かと交流したり、役に立ったり、必要とされることが、働く理由であることを実感したそうです。だから今とてもいきいきとお仕事をされていて、学ばせていただくことが多いです。


 
教えて! 猪尾さん
投資先として被災地の企業をおすすめする理由を教えてください。
「技術や品質を向上させていくというのはどの地域の事業者も同じだとは思いますが、被災地、特に福島においてその意識は高く、10年後には生産技術や品質は日本でトップレベルになるのではないかと確信しています。なぜなら、そうでないと生き残れないから……。ほかの地域よりも危機感が強いと思います。特に風評被害の問題を抱える事業者のみなさんは製品の品質とその伝え方について日本で一番真剣に考えているのではないかと思います。それを続けるにはすごいエネルギーが必要です。逆境を乗り越え、新たなものを生み出していく事業者の方々のドラマに2〜3万円の投資を通じて参加し、一緒に一喜一憂してみるのはいかがでしょうか」


photo:Toru Matsushima illustration:Yurikov Kawahiro text:Shizuka Horikawa