日本人の美意識が宿る「金継ぎ」で、お気に入りのうつわを直す!
〔Hanako/Study〕
破損してしまった大切な器を漆で接着し、繋ぎ目を金や銀で表情をつけ、再生させる「金継ぎ」。古くから伝わる日本独自の修繕方法に挑戦です。

[ 教えてくれた人 ]
ふじたみほさん/金継ぎ作家(写真右)
金継ぎをアートや遊び感覚を交えた表現で提案する。現在は、湘南や都内でワークショップを中心に活動中。「自分で直すとさらに愛着がわくよ」
[ 教わった人 ]
金 香淑さん/カフェスタッフ(写真左)
普段から絵を描いているので筆使いには自信あり。以前から興味のあった金継ぎで、皿に新たな個性を出したい!

割れたり欠けたり、ひびが入った陶磁器を、漆を用いて接着し、金や銀などで蒔(ま)いて飾る方法“金継ぎ”。器を修復するだけでなく、継ぎ目を「景色」と呼び、人それぞれの加飾を楽しむのも醍醐味の一つです。その歴史は室町時代から茶人たちが器を愛でる精神とともに、その世界が花開いていったそう。
「伝統的な方法とは異なりますが、最近では『新うるし』を使って比較的簡単に、そして短期間で金継ぎが楽しめるようになりました」と話すのは、金継ぎ作家のふじたみほさん。伝統的な手法で使われる本漆は素人では扱いが難しいため、器の修復は専門家に任せるのが一般的。その場合は、やはり時間も金額もかかってしまいます。
「今は、東急ハンズなどホームセンターでキットが販売されているほど、個人で挑戦する人も増えました。道具も画材屋などで手軽にそろうものばかり。基本をしっかり覚えたら、誰でもできますよ」と、やる気が出るお言葉!
金継ぎ初挑戦の金さんは、「これまでは器が割れると泣く泣く処分していたけど、自分で修復できるなんてうれしい!」とやる気マンマン。筆で表情をつける作業が一番楽しかったようで、「昭和初期の器にクリムトテイストを織り交ぜてみました」と出来上がりににんまり。
壊れた物を捨てるのではなく、自らで直し、使い続ける。ものを大事にする“金継ぎ”の精神は、今後さらに広まりをみせそうです。
金継ぎって?
割れ、欠け、ひびの入った器を漆で継いで、金や銀などで表面を加飾する、日本古来の修復方法。金を繕った跡を“景色”と呼び、新たな表情を楽しむのも一興。
*新うるしを施した器は電子レンジ、オーブン、食洗機の使用は不可。また、新うるしは合成接着剤のため、小さなお子様が日常に使う器としては利用できません。
●STEP1 接着する


●STEP2 パテで欠け部分を埋める

金属用パテを適量とり、手で練る。時間の経過とともにパテは硬化していくので、欠けた隙間を埋めるように一気に盛っていく。欠けた部分もパテで補修。
●STEP3 「遊び」をつくる

自分らしい表情をつけるには、あえてパテを盛って、木の棒などで模様を入れるのも手。パテがある程度固まったら、はみ出た部分をカッターの刃で削る。
●STEP4 やすりをかける

パテで補修した部分は耐水ペーパーを水につけながら、表面がなめらかになるようやすりをかける。指先で触って凸凹を感じなくなったらOK。器や釉薬の種類によってやすりの粗さを使い分ける。
●STEP5 金で加飾する


●STEP6 FINISH!

こんな材料からつくりました!
耐水ペーパー、新うるし用の金粉、新うるし用洗い液、新うるし用薄め液、割れたお皿、専用接着剤、カッター、スポイト。そのほか金属用エポキシパテ、筆、塗料皿など。
杉並海の家 金継ぎワークショップ
金継ぎワークショップは隔月開催。年内は9月5日(土)、11月7日(土)、それぞれ11時〜と15時〜に開講予定。
杉並区和泉1-5-12
問い合わせ:peatix.com/event/107484/
教室は少人数制。予約はお早めに。
杉並区和泉1-5-12
問い合わせ:peatix.com/event/107484/
教室は少人数制。予約はお早めに。

photo: Megumi Uchiyama text: Mariko Uramoto
Hanako1093号「Club Hanako」掲載