マガジンワールド

FOOD NEWS vol.95 平野紗季子のMY STANDARD GOURMET 『BANDERUOLA(バンデルオーラ)』のクスクス トラパニ風

FOOD NEWS
  • RESTAURANT _ 犬養裕美子
  • GIFT _ 真野知子
  • SWEETS _ chico
  • NEW STANDARD _ 平野紗季子
vol.95
平野紗季子のMY STANDARD GOURMET
『BANDERUOLA(バンデルオーラ)』のクスクス トラパニ風
クスクス トラパニ風¥2,000 新鮮な魚介類は西田シェフの故郷、大分の漁港から直送。シェフ曰く「美味しい魚介類がたくさん獲れて、味付けがすこし甘くて。大分とシチリアってどことなく似てるんです」。
クスクス トラパニ風¥2,000 新鮮な魚介類は西田シェフの故郷、大分の漁港から直送。シェフ曰く「美味しい魚介類がたくさん獲れて、味付けがすこし甘くて。大分とシチリアってどことなく似てるんです」。
 

いつしかクスクスは私たちの生活に浸透していた。タジン鍋のそばにサラダの隅にその粒粒としたパスタはそっと存在していて、名前の響きの可愛らしさも手伝ってかクスクス愛を表明する女子もすっかり増えた。でも、こんなクスクス食べたことない! の知られざる感動に、恵比寿の『バンデルオーラ』ではきっと出合えるはず。「クスクスはモロッコやフランスのイメージが強いですが、実はイタリアでもよく食べられています。特にシチリア島のトラパニでは」。そう恋する眼差し(シチリアへの)で語ってくれる西田昌弘シェフ。彼が海辺の町トラパニで出合った新鮮な魚介がたっぷり入ったクスクスは、バンデルオーラでも一際輝くスペシャリテ。魚介のだしがバッシバシに効いたトマトスープをエビや貝が躍る大粒のクスクスにざばっとかけて大きいスプーンで頬張れば、ここはシチリア、恵比寿はいずこ、底抜けに陽気で豪快な美味しさがこみ上げる。クスクスがキラキラ生き生きと笑う、そんな表情初めてみた気がした。「行儀よくセルクルで成形したりせず、勢いありきで、ソースもベタっと。ダサかっこいい感じが一番美味しそうに仕上がるんです」。小綺麗なトリミングはナシ。現地の空気をたっぷりまとった西田シェフの料理は、まだ見ぬイタリアの美しい景色を夢想させてくれる。

ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。
 
BANDERUOLABANDERUOLA
東京都渋谷区恵比寿南2-7-5 ☎03・6712・2377 11:30~14:00 、18:00 ~ 24:00 日曜・祝日休 http://banderuola.jp/


写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子