マガジンワールド

FOOD NEWS vol.115 平野紗季子のMY STANDARD GOURMET 『東京豆花工房』のトッピング豆花

FOOD NEWS
  • RESTAURANT _ 犬養裕美子
  • GIFT _ 真野知子
  • SWEETS _ chico
  • NEW STANDARD _ 平野紗季子
vol.115
平野紗季子のMY STANDARD GOURMET
『東京豆花工房』のトッピング豆花
トッピング豆花¥650 冷たい豆花も最高ですが、温かいシロップでいただく「ホット」も美味しい。豆の香りがよりいっそう引き立ちます。
トッピング豆花¥650 冷たい豆花も最高ですが、温かいシロップでいただく「ホット」も美味しい。豆の香りがよりいっそう引き立ちます。
 

今年も日本は酷暑でして、容赦なき日差しと湿気にやられながらギリギリ生きてる老若男女を見るたびに、その口元までスプーンひとさじ運んであげたい! とお節介にも思ってしまう点滴フードがあります。それが豆花です。まめはな、ではありません。トーファーといいます。生まれは台湾。豆乳をつるんとなめらかに固めて冷たいシロップに浮かばせた豆腐プリン、とでもいいましょうか。するんと食せば小池にダイブな清涼感。喉も心もたちまちうるおいます。その涼やかさを知ってしまったら、豆花なしの夏なんて越せない! と誰だって思うはず。不思議と日本ではまだまだマイナーな存在ですが、ありがたいことに神田の『東京豆花工房』では毎日食べることができます。台湾好きが高じて専門店を開いた店主の田辺与志久さん。彼が作る豆花は、伝統的な製法にのっとり全てが自家製。トッピングも茹でピーナツや白木耳(しろきくらげ)や緑豆など、いちいち体に良い魅力的なメンツが約8種類ほど揃います。味の決め手は食感。「べちゃっとせず、固くなりすぎず。ぷるっととろける絶妙な一点を探りながら仕込みます」。だからこそ誕生するストレスフリーなうるおいの塊。いかなる体調もやすやすと引き受けてくれる優しさ。朝でも夜でも駆け込みたい避暑豆花は夏の希望です。

ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。
 
東京豆花工房東京豆花工房
東京都千代田区神田須田町1-19 ☎03・6885・1910 11:30~18:00(9/18までは~19:00) 水曜休 トッピングは選べる。トッピングなしのプレーン豆花¥500も。 tokyomamehana.com


写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子